「新しいモノや面白そうなモノにすぐに飛びつく無邪気さ」や「あとさき考えない無鉄砲さ」は、「若者の特権」と言うよりは、経済成長が続き、将来が楽観視できる時代環境が育む精神性なのではないだろうか。そう考えると、海外留学者数が減少しているとしても驚きではない。学生たちにとって、現在の環境の中で「海外留学を目指さない」というのは、「内向き」というよりは「冷静な判断」の結果なのだと思う。
最近の若者は、とても周囲に気をつかい、必要以上に自己主張しない傾向があるので、おとなしく見えるのは事実だが、「おとなしく見えること」と「行動力がないこと」はイコールではない。仮に、多くの企業において「留学経験がキャリアアップに直結する」ようになったり、留学経験を活かして成功する人達が増えてくれば、賢明な学生たちは海外留学を目指すであろう。
若者たちの行動が「内向き」になっているのだとすれば、それは「内向きな行動をとっておいた方が安全」という社会の構造を反映している側面があるのではないだろうか。
結局人間の根本的な性質はそう急に変化するはずもなく、環境に応じてベストと思われる選択をとっているだけに過ぎないわけで。否定的な意味で「内向きだ」と揶揄する壮齢者(特に団塊世代、全共闘時代前後の世代)をよく見かけるけど、引用本文にあるように「現状を見据えての判断結果」に過ぎないと考えれば、現在の若年層の行動性向も理解できるんだよね。
そしてそれをもし否定するのだとしたら、若年層がそのような行動性向を取らざるを得なくなった環境を創った、非難している世代にこそ主原因があるわけで(この辺は【外より家、遠出より近所......変わる若年層のライフスタイル】あたりでも触れたかな)。結局「今の若い者は云々」って批評の多くは、実は自らの責任に対する責任転嫁に等しいのだよね。ちょっと考えればすぐにこんな結論に行きつくのに、それを成さないのはやっぱり、指摘されると逆切れされるからかしらね。
本当は若年層だって、経験を積んだ年上の人を皆尊敬したいし、頼りにしたいし、助けてほしい。でも見本にならないどころか反面教師的な大人が多すぎるような気がするよ。
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