第二次大戦末期の「反応弾」研究比較

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研究概要(最新報告)

1.史料収集: 米国立公文書館等より市販されている原爆開発関係資料については、基本的に入手を終えた。主なものは、MED、ハリソン-バンディ、トップ・シ-クレット各ファイル、AEC関係資料、スチムリン日記などである。またブッシュ・コナント・ファイルの一部は、ゼロックス複写を得た。シカゴ治金研究所、ロスアラモス研究所関係の技術報告書の写しについても、重要資料については入手した。企業関係のものは、入手上の制約のため、デュポン社関係の一部を入手したに止まった。米国以外のものは、上記資料に含まれているものの他に、英国、日本における技術資料の一部を入手した。

2.史料分析: 爆弾構想の起源とその成立条件は、U、Pu爆弾についてほぼ全面的に明らかにされた。また、これと政策決定との相関についても明確となった。研究開発方式の選択・決定における軍の介入と科学者側との齟齬の問題については、その一部が明らかにされた。研究開発の諸側面については、軍事的要請が技術的変型を生んだ点がとくに注目され、平時では現実しない技術体系が、ウラン電磁分離法、プルトニウム分離における沈澱法、大型ウラン爆弾、大型インプロ-ジョン装置などの採用と開発として、実現化したことが示された。投下目標については、政策決定者レベルでは、43年末まではドイツと日本が並列的に設定され、44年に、ドイツでの原爆開発が未完であることの察知と前後して、対日投下に一元化されたことが明らかにされた。また、投下の事前予測は相当正確になされたものの、その目的が実験と実戦使用における味方人員の安全確保におかれたため、不完全に終ったことが示された。科学者の動員、対応については、科学者がいくつかの階層構造を持つ点から分析が行われた。


既存の資料を色々とサルベージして集大成化したり、それらのデータをまとめて再構築して新たな資料を生成し、多くの人に理解しやすいようにしたり。地味だけど、こういうのってとても大切な学問の一つだと思う(【データ・サルベージ・アナライズ(Data Salvage Analyze:DSA)という考え方】のような話もあるし)。特に今件はタブー視されがちだけど、当時の政治的・軍事的状況と合わせて考えると、非常に興味深いテーマともいえるんだな。歴史のIFとBUTをたどることもできるし、ね。

発表文献がバラバラになってるけど、まとめられてるようなのがあるといいなぁ......ネット上にはないのかな?


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この記事について

このページは、不破雷蔵が2011年1月30日 08:20に書いた記事です。

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