「あなたがご覧のテレビはアナログ放送です」
1月24日夕、NHKと民放のアナログ画面は1分間、「砂嵐」と先のメッセージで埋まった。普段から画面の上下を占める停波のお知らせ。自宅にデジタルとアナログ合わせて4台のテレビを所有するという岩手県金ケ崎町の農業、小原敬さん(64)は嘆く。
「完全移行の告知はもう分かった。デジタルではリモコンで番組参加ができるなどというが、大きなお世話だ。アナログでも不満はなかった。愛用してきたテレビを、最後まで静かに楽しませてほしい」
テレビがなじんだお茶の間に、「国策」が手を突っ込んだ「完全地デジ化」。片山善博総務相は「期限の延期はない」と胸を張るが、視聴者、自治体、テレビ局には不安の表情が目立つ。
テレビの地デジ化は確かに便利になることが多い。電波の再分配(デジタル化で余裕が出来た帯域を使って、携帯電話の混雑緩和とかね)の点でも重要。でも視聴者の少なからずは「大きなお世話だ」って心境なのではないかな。
出来ることが増えれば可能性も広がる。でもテレビ放送の現況を見る限り、今の環境ですら持て余している状態と言われ、胸を張って「違う」と言いきれるテレビ局がどれだであることか。先日の【週刊 ダイヤモンド 2011年 1/15号 読了】でも触れられていたけど、既得権の固持にこだわった「かつての栄光を知っている」世代がテレビ局をぶん回している間は、誰も首を縦に振れられないんじゃないかなあ。
元記事の上の方で 「"テレビ離れ"のきっかけになるようなアナログ放送の終わり方は、避けるべきだ」という言い回しが使われているけど、これ自身にも現状の問題が現れているよね。テレビ離れはすでに起きていて、アナログ放送からデジタル放送への切り替えは「その後押しの一つ」に過ぎないって。そして本質は「全員がテレビから他のメディアに移るわけじゃなく、色々なメディアという選択肢の中に新たなメディアが生まれて浸透し、人々は『より良い』『より品質の高い』『より使いやすい』『よりリーズナブルな』ものに傾倒しているだけ」なんだってことに。
テレビ離れが起きているのを、放送手法の切り替えとか、インターネットの台頭に責任転嫁していると考えている自体も、問題なんだよね、要は、さ。
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