医療報道を考える臨床医の会 発起人代表 小松恒彦
2011年2月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
私たち「医療報道を考える臨床医の会」は、全国の病院・診療所に勤務し、日々患者さんの診療を行っている医師の集団です。
去る2010年10月15日、朝日新聞朝刊1面に『「患者が出血」伝えず 臨床試験中のがん治療ワクチン 東大医科研、提供先に』と題する記事が掲載されました。記事は、医学的誤り・事実誤認が多数含まれたうえ、患者視点に欠け、医療不信を意図的に煽るよう読み取れる内容でした。
私たちは、このがんワクチン報道に対し抗議し、当該記事の訂正・謝罪、朝日新聞社のガバナンス(組織統治)体制の再構築を求め、署名募集を行って参りましたが、これまでに、55,773名の賛同署名が得られました。
当会の趣旨にご賛同され、ご署名くださった皆様、誠にありがとうございます。
2011年1月28日、朝日新聞社の秋山耿太郎社長及び報道と人権委員会(社内第三者機関)宛に要望書を提出し、記者会見を厚生労働記者会にて開催致しました。
......というわけで、実はかなり大きな問題になっている、朝日新聞の医療に関する問題報道。医者と患者は信頼関係で結ばれているわけだから、それを断ち切るような誤解を生みだすものを「真相」「真実」として報じられてしまっては、医者の方もたまったものではない、と。
具体的なやり取りに目を通して見た限りでは、どうも朝日新聞の担当者の方々は、ツッコミまれる側に慣れていない、というよりは「一方向のみの情報発信が出来る権威者」的な考えをしているっぽい。昔はそれでも個人個人が理性と信念と常識を持っていたから何とかなったんだろうけど、(書かれていることがすべて100%事実だとすれば)「こんな人たちが"クオリティペーパー"を自負するものを創っているの?」と首をかしげたくなる。
「新聞を読むと賢くなります」という主旨のチラシも配っているようだけど、創っている人がこれでは、ねぇ。
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