「ただ自分の背中をついて歩いて来る後進の為に」

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『王様の仕立て屋 28』



一度しかない人生 要領良く金を稼ぎ
食われるより食らう側に回って面白おかしく生きる
そんな楽しそうな選択を捨て 誇り高くあり続けるのは
いかにも損を感じるだろう

誰が評価してくれる訳でもない
日陰で どうすれば男は誇りを保ち続けられるのか
弱虫な僕の問いかけに 先代はこう教えて下さった

自分の為などと 矮小な事でなく
天下国家の為などと 身の丈を越えた大法螺でなく
ただ自分の背中をついて歩いて来る
後進の為に 男は背筋を伸ばすのだと

やがて自分がこの世からいなくなっても
愛する家族が立派に歩き続けて行けるように
子や孫や次の世代に幸あれかしと 願えばこそ
胸の張り甲斐が生まれるのだ


「王様の仕立屋」は買い逃しが無いようにアマゾンで逐次チェックを入れて注文してるんだけど(ダブリも避けられるしね)、どうもこの28巻だけがなかなか入手できなかった。何でだろうと思ってたんだけど、収録されているエピソードを確認して納得。ストーリーの中ではインターミッション的な立ち位置、主人公が若かりし頃の、ある抗争に巻き込まれた時のお話だった。

引用したのは主人公の依頼主側の男性がライバルに語りかける時のものなんだけど、これに限らず随所で泣かせるというか、心に響くというか、そんな言い回しが散らばめられている。まるで映画を見ているかのようか気持ちに。

そしてその後に、単行本の折り返し部分に書かれている作者からのメッセージを読み返すと、色々感極まってしまうんだよな。


(最終更新:2013/08/29)

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このページは、不破雷蔵が2011年3月27日 17:24に書いた記事です。

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