「I am a 14-year-old Japanese(私は14歳の日本人です)」。先月こんな題名のメールが、「トモダチ作戦」の後方支援に当たる米海軍第7艦隊旗艦「ブルーリッジ」艦上でその日の仕事を始めたばかりのマイク・モーリー少佐の目に止まりました。
メールは北海道に住む「シホ」と名乗る日本人の少女からで、助けを求める彼女の思いがたどたどしい英語で書かれていました。父親の漁船が津波にさらわれてしまったので、これを探すために米海軍に力になってもらえないかと尋ねてきたのです。モーリー少佐は、少女が冷静な、節度を持った態度で助けを求めていることに胸を打たれました。
モーリー少佐はシホさんからのメールを読み返し、「お父さんの船が見つかるよう、なんとかやってみましょう」と返信しました。すると間髪おかず彼女から、希望を持って知らせ待っているという返事がありました。彼女をがっかりさせることなんてできない...。そう心得ていたモーリー少佐は、シホさんの父親の漁船が母港から何キロも離れた海上を漂っている写真を撮った米海軍の僚船に連絡を取りました。
やもすればいたずらメールとして処理されかねないような内容でもちゃんとチェックを入れて対応する米海軍も、つくづくマジだなぁ、というのが第一印象。文面では恐らくわざと書いてないんだろうけど、メールを受領して漁船の名前を確認してから、各部局に通達を入れ、すでに収集した情報との照会をして該当する漁船があるかどうかの確認をさせるなど、定められたシステムのなかでかなり手間暇かけているはず(あるいはそういうシステマチックな仕組みが用意されているのかもしれない)。
ともあれ「写真を発見。状態はよさそう」「最後に漁船が確認された場所をメールで教える(恐らくは写真込みで)」「海上保安庁が彼女から連絡を受けて該当座標で漁船を確認」「タグボートで取りに行く」「無事確保」「宝亀丸が手元に戻る」という、奇跡のような本当の話があった次第。漁船ってこの規模になると数百万とかで買えるもんじゃないからねぇ。それに漁師にとっちゃ命の次に大切な商売道具だし、本人にとって、そして一家にとっての支え。それが津波で流されて絶望的になっていたところに、こんな風に戻ってくるとはまさに「蜘蛛の糸」的なものにつかまることができた気持ちに違いない。彼女ら一家は船そのものはもちろんだけど、心をも救われたんだろうね。
まぁ、この「トモダチ作戦」については多種多様な山ほどのエピソードなり、映画化の素材がダース単位で存在するんだけど、「なぜか」規模の割に4マスで伝えられることが少なくてねえ......公知されると都合が悪い人たちがいるとしか思えないのよね、正直。
ということで、当方で少しだけでも伝えてみましたとさ。
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