3月11日に未曾有の大震災が国をおそった明くる日は、まさに修二会お水取りの日で、籠松明が上がる直前に、管長自ら参拝者にむけ、メッセージとして3つの願いを述べられました。
その1 被災され亡くなられた方々のご冥福を共に祈っていただきたい。
その2 今、困難な状況におられる方々へ思いをはせ、共に苦しみを感じましょう。
その3 被災者の支援・被災地復興のために、皆様がそれぞれのお立場で、各々が持っておられる力を尽くしていただきたい。
東大寺本坊襖絵一般公開の初日4月5日に、聖武天皇を祭祀している天皇殿において、東日本大震災で亡くなられた幽魂の追善菩提並びに被災地復興を祈願させていただきました。
天平創建の時はもちろんの事、鎌倉期・江戸期の二度の復興の折にも、多くの人々が心のつながりを結集してくださいました。
東大寺として、今もなお困難な苦境に直面しておられる被災者の方々の、心痛にくらべれば微々たるものですが、苦しみや痛みを共にするべく、1億円を借財した上で義援金として協力することに致しました。
檀家もなく、直接被災地に救援に向かえない小さな組織の東大寺にとりましては大きな額ですが、被災者の方々の艱難を思い決断致しました。
東大寺は、聖武天皇が生きとし生けるものすべての幸せを願って大仏造顕をなされて以来、聖武天皇・光明皇后の思いを大切にし、国家安泰・人々の幸福・五穀豊穣等を祈り続けております。
これからも、被災地復興と被災者の皆様が心のよりどころとされている、被害をうけた有形、無形の文化財の再興のため、微力ながら支援を続けてまいります。
【産経の報道】によれば、銀行から借り入れた上で、日本赤十字社奈良県支部を通じて寄付するのだそうな。「天平創建の時はもちろんの事」とあるのは、天平時代の大仏造営の際、宮城県涌谷町から献上された砂金が大仏に鍍金(ときん)されるなど、宮城県と同寺は縁が深いのが事由との事。記事タイトルにもあるけど、1000年以上(1300年ほどになるのかな)の時を超えた恩返しってのは、宗教云々は別にしても出来ることじゃないよなぁ、と素直に思う。
コメントする