セシウムを取りこみ濃縮する細菌、研究が行われていた

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【国立環境研、細菌使い放射能を10分の1に-水浄化で注目】

国立環境研究所の研究グループが過去に行った放射性物質を取り込む細菌の研究で、水中の放射性物質が放射線を出す能力(放射能)を10分の1まで下げる細菌を発見していた。福島第一原子力発電所の事故で放射性物質の環境汚染が懸念される中、浄化手段としてあらためて注目される。ただ「簡単に増えるため大量培養は難しくないが、海水の中で利用できないことや温度や酸性度の条件で制約がある」(冨岡典子主任研究員)など実用化には課題があるようだ。


【微生物による環境汚染物質の濃縮】



そこで,細菌をモデルとしてセシウム細胞への濃縮機構を明らかにすると共に,細菌の濃縮能を利用した放射性セシウムの除去とセシウムの測定手法の開発をめざして研究を開始した。まず,土壌中の細菌を培養しそのセシウム濃縮能について検討した。その結果,土壌中に存在する細菌の約1/10がセシウムを濃縮する能力を持っていることが明らかとなった(図1)。このなかで特にセシウムを高濃度に濃縮することができる細菌は,培養液に20㎎/lのセシウムを添加すると,菌体の乾燥重量の8.5%にもおよぶセシウムを細胞中に蓄積した。濃縮機構について調べたところ,この細菌はカリウムを濃縮するのと同じ機構でセシウムを濃縮していることが分かった。通常生物は細胞中に高濃度にカリウムを濃縮しており,特にこの細菌のセシウム濃縮能が高い理由の解明は今後の研究課題である。

細菌の中に高いセシウム蓄積能を持つ物が存在することが明らかになったので,現在この細菌を利用した,放射性セシウムの除去や測定手法の開発に関する研究を行っている。透析チュ-ブ内にセシウムを濃縮する細菌を入れ,それを放射性セシウムの入った水溶液につけると,水溶液中の放射性セシウム濃度は時間の経過とともに減少し,32時間後には初期濃度の25%にまで減少させることができた(図2)。この時点で細胞中の放射性セシウム濃度は初期の水溶液中の濃度の7500倍に濃縮されたことになる。放射性セシウムの汚染の測定に際しては通常濃縮操作が必要であるが,放射性セシウムを濃縮する細菌を用いて簡便に濃縮操作が行える可能性が示された。このように生物,特に微生物にはまだまだいろいろな能力が隠されており,これから環境の保全にこれらの微生物の持つ能力を利用していくことがさらに求められていくものと考えられる。


チェルノブイリ原発事故以来、放射性セシウムが多量に環境中に放出され穀物やきのこなどに高濃度に濃縮され問題視されているという話があり、だったらその仕組みを確認し、さらにそれを逆利用して「細菌にセシウム集めさせて除去できないかな?」というのが今研究の主旨。ある程度特定の環境を創る必要があるけど、32時間で濃度を25%にまで減らすことが出来たとの話(新聞の1/10云々ってのは、「土壌中に存在する細菌の約1/10がセシウムを濃縮する能力を持っていることが明らかとなった」の部分の読み間違いかも)。

現時点では条件が限定されるのが難点なのと、濃縮したあとの細菌の処理問題もあるけど、注目したい話ではあるよね。


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このページは、不破雷蔵が2011年4月12日 07:54に書いた記事です。

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