[「原発なしで電力は賄える」は本当か]
つまり、こういうことだ。電力会社は総括原価主義と呼ばれる方式で、コストに適正利潤を加えた電力料金が認められている。この結果として電力会社の利益水準は一般的に低いレベルにある。
収益性を測るには、総資産額に対し、いくらの利益があったかを見るのが一番分かりやすい。総資産利益率、「ROA」だ。震災の影響がなかった直近のデータでは、日本の電力のROAは一番高い中部電力でも2.0%、最も低い東北電力は0.8%だ。1兆円の資産があるとすれば、利益は80億円しかない計算だ。
日本の他業種の同規模の企業と比較すれば、ROAはかなり低い。また、米国の大手電力会社のROAを見るとサザン社が3.3%、アメリカンエレクトリック社が2.8%、コンソリデーティッドエジソン社で2.6%だ。
もし、発送電を分離し、送電部門を売却した場合、購入した企業が1%や2%の利益率で満足するだろうか。東電の送配電部門の資産は5兆円だ。5兆円に対し500億円しか利益がないような投資をする企業があるだろうか。結局、今の電力会社が得ているような利益水準では普通の投資家は満足しないだろう。発送電分離により、送電料金の値上げが起こる可能性が高い。
一瞬「原発なしで電力は萌える」と読んでしまったことはさておき。多分に感情論・信仰論で高圧的に意見を語り、数理的・論理的な思考を無視するという事例を多々見かけるようになったのだけど、上の記事にあるように理路整然と論拠だてて説明・分析すると、「感情論・信仰論で高圧的に意見」ほとんどが破綻した内容だったことが分かる。下手すると、土台・前提部分に誤認があるので、その上に構築された論理もすべて間違っているという感じ。例えるなら「1つのおまんじゅうと、別から持ってきた1つのおまんじゅうを足すと2つでしょ。だから1+1は2なのね」と説明する感じかな。
でも大抵の場合において「このまんじゅうが1つだと誰が決めたんだ! 偽情報かもしれないじゃないか。お饅頭屋の回し物だろ」「こうやって両方とも二つに割れば、全部で4になるだろう!」という、訳が分からない反論をしてくるのだよねえ。
本文でも指摘されているけど、論旨のすり替えとか思いこみとか、さらには「結論ありきで過程をこじつけてる」ってのが多い。まぁ自分が信じる分には構わないけど、無垢な人達、精神的に不安定な状態にある人達を巻きこむのは止めてほしいな、と。
あと、詭弁で人をだまして自分の懐を富まそうとする人。それはビジネスとは呼ばないよ。
コメントする