菅民主党政権は、自然エネルギー発電導入のために自然エネルギー発電電力の全量固定価格買取制度の導入を目指しています。この制度の先発国であるドイツやスペインでは、当初、確かに風力発電装置や太陽光発電パネルの導入量を飛躍的に増やしました。しかし、その後は自然エネルギー発電の発電能力の低さと不安定性が露見し、電力供給面でも財政面でも大きな問題となっています。
まずドイツの電力全量固定価格買取制度(Feed-in Tariff)について、No.600「ドイツの全量固定価格買取制度の失敗」で紹介した『ドイツは間違った:全量固定価格買取制度(フィード・イン・タリフ)は正反対の結果』の内容を紹介します(このレポートは、RWI(ライン・ヴェストファーレン経済研究協会)が2009年11月に発表した「再生可能エネルギー推進の経済的影響」と題する論文の概要を紹介したレポートです。)。
確かに数年前は「太陽光発電の総量ランキングで日本がドイツに抜かれた」「スペインはごっつパネルを配しているぞ」「国が定額で買い取る仕組みを作ったからだ」云々という話をしてて、当方もいくつか記事を書いた。その後何故かそれ周りのニュースが伝わってこなくなり、「そういや、ヨーロッパ、特に両国で太陽光・太陽熱発電が大発展しているのなら、例えば【その電気、何から作られてるの? ...主要国の電源別発電電力量の構成をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】あたりでも明確に出てるはずなのに、ドイツは相変わらず石炭や原子力が中心だよなぁ......」と思っていたところ、こんな話が。
まぁ先日から原発事故絡みで「太陽光発電」周りへの異常な熱狂や、現状を無視した論理展開が魑魅魍魎のように跋扈していて、頭が痛い限り(当方は以前の資源高騰危機あたりから太陽光発電に関してチェックを入れていたのだヨ)なんだが、今件の記事を見てすっきりした。
今件記事では多種多様な実地データや経済的視点から、ドイツやスペインの政策が正直失敗だったどころか、経済的に大きな負担を与える結果となってしまったことを述べている。当時と比べてほんの少しは太陽光発電ユニットの効率は上がっているけど、劇的な進化発展をしたわけでもなく、同じようなことをすれば同じような失敗をして、同じような損害を国や国民が受けて、一部業者の懐が潤うだけというのは日の目を見るより明らか。
公的データを探ればそれ位は分かるはずなのに、何でそういう妄想に走るのかなあ、と。いくつか理由は考えられるけどね。エネルギー周りで「リケンリケン」と騒ぐ方々の出番ですよ。あと、例のボルト電田でもろ手を挙げて賛成した知事の方々。再考の時間はありますよ。
実験をするのは構わないけど、日本全土を実験場にする必要はないと思うんだな。もっと論理的、数理的にいこうよ。
※リンク修正しました。申し訳ありません。
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