【国際的なエネルギーコストの比較(エネルギー白書)】
【電気料金の国際比較推移】
●ヨーロッパの電気料金は日本より高いし、韓国が安いのは赤字を出してるからで、アメリカが安いのは自国で掘れる石炭で火力の5割占めてるから。
●内外価格差は燃料・原料の調達方法や、消費量の多寡、国内の輸送インフラの普及状況、人口密度、あるいは為替レート等といった様々な要因によって生じるため、内外価格差のみを取り上げて論じるのは現実的ではありません。電力・ガス事業の効率的な運営と、電気・ガス料金の低下に向けた努力を怠ってはなりませんが、その際には我が国固有の事情、すなわち、燃料・原料の大部分を輸入に依存しておりその安定供給が不可欠なことや、国内の輸送インフラに整備の余地があること等、供給面での課題に配慮しておく必要があります。
●日本の電気料金は、いったい、高いのか低いのか。
図には、OECD/IEAのエネルギー価格年報から、ドル換算の毎年の電気料金価格の推移を主要国について掲げた。単年度の比較は、その時に状況に影響され、また一般に、論者は自分の都合の良い年次をとる傾向があるので、これに対し、ここではやや長い期間をとり客観性を確保できるように努めた。なお、ドル換算なので当然各国通貨の為替レートによって影響を受けていることを踏まえて判断する必要がある。
図の推移から、1990年代には、日本の電気料金は産業用も家庭用も、確かにかなり高かったように見える。日本の電気料金が高いというイメージにはこの頃の刷り込みが影響していると思われる。
......というわけで、東電の原発や火力発電所の超人的な復旧作業の話が出回った先日あたりから、再び「日本は独占で電力が高い、これはいけない、だから分割して送発電をわけて云々」という、理由の連動性があるのかないのか分からない話が出てきたので、色々と覚え書き。最後の「社会実情データ図録」のは必見。また、大本のソース「OECD/IEA Energy Prices and Taxes」は存在を確認できたんだけど、ユーロ建てでないと買えないし(日本のOECD支部では販売していないし、アマゾンジャパンにも無し)1万円強するので断念。
まぁ、これはあくまでも価格での比較でしかなく、為替レートの問題や消費者物価指数の動向との関連(「社会実情データ図録」の後半部分に、ドイツやイタリアの実情が紹介されている)、停電や安定性などの品質のことも考えなきゃならない。単に安けりゃいいということでもないんだな。
まぁ、覚え書きということで。ただ、記事タイトルにある、最近また持ちあがってきた主張は的外れなのに違いない。送発電の分離と自由化で、安くなるかどうかも確定はしていないし、安定性は落ちるのは、すでに何度も説明した通りだし、ね。
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