【チェルノブイリ事故における環境対応策とその修復】
【チェルノブイリ事故による環境汚染と住民の被ばく】
第1表 主な食品、飲料水の放射能濃度の旧ソ連暫定基準(Bq/kg)
1.放射線被ばくに関する基準
チェルノブイリ事故の起きた1986年当時は、公衆と放射線従事者に対する国際放射線防護基準としてICRP Publicztion 26(ICRP 1977)が適用されている時期であった。従ってチェルノブイリ事故のような大事故の際の防護指針はなかったので、旧ソ連および欧州諸国では早急に事故時の基準が作られた。
旧ソ連では、急遽全身線量当量の暫定許容基準としてとして1年目(1986年4月26日より1987年4月26日まで)は100mSv、2年目は30mSv、1988年および1989年は夫々25mSvと定められた。
内部被ばくに関しても、食品中の放射能の暫定基準が時機に応じてそれぞれ定められた。暫定基準の変遷を示すと第1表のとおりである。
1986年5月6日の基準は、事故初期において子供の甲状腺線量を300mGyに制限するために設けられたものである。
TPL-86の基準は、農家で通常に食物を摂取した場合に、内部被ばくが50mSvとなるように定められたものである。TPL-88は年間8mSv、TPL-91では年間5mSvと内部被ばく線量を下げて定められた。
旧ソ連が崩壊した後、ロシア、ベラルーシ、ウクライナと分離独立したが、この3国の現在の基準は2000年前後に改定されており、夫々の国で多少異なるが、TPL-91の値の約1/4~1/10程度に下げられている。
巻末の説明にもあるように、IAEAがチェルノブイリ事故のレポートとして呈した「Environmental Concequences of the Chernobyl Accident and Their Remediations:Twenty Years of Experience(Report of the UN Chernobyl Foram,Expert Group "Environment"(EGE) (August 2005)」の概略的な翻訳記事。英文は
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