東京の下水には昔から色々な放射性物質が出ていたという話

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↑ Quantities of unsealed radioisotopes used in hospitals and clinics.


医療目的に使用されたラジオアイソトープが下水中に検出されたという報告は, 諸外国で散見される1~3)。我々は, 東京都区部の下水中のラジオアイソトープの存在量の調査を20年前から行っており, 活性汚泥中における核医学関連のラジオアイソトープの検出, 下水処理場の処理工程でのラジオアイソトープの収支などについて報告した4~8)。

東京都には; 医療機関, 教育機関, 研究機関, 民間企業等のラジオアイソトープ使用施設が集中しており, この数は全国の約10%を占めている9)。また非密封ラジオアイソトープの大部分は, 医療機関で使用されており,増加する傾向にある。ラジオアイソトープ使用施設からの排水は, 放射線障害防止法や医療法に基づき, 下水道中に放流されている。しかし, 医療機関で診断, 治療により患者の体内に取り込まれたラジオアイソトープは,病院から帰宅すると, 排泄物として直接下水中に流れ込むことになる。東京の下水は産業排水, 各家庭からの排水そして雨水の大部分が分離されず, 一緒になって処理場に流入する。東京都23区の下水道普及率は1994年にほぼ100%(1983年80%, 1993年98%)に達しており,環境に出たラジオアイソトープは, ほとんど下水処理場に集まる。そのため, 環境に放出されるラジオアイソトープのモニタリング場所として下水処理場は最も適した所といえる。


東京都23区にある10の下水処理場からサンプリングした下水汚泥中の放射性核種の測定を1983年10月から10年間にわたり実施した。下水汚泥からは核医学で使用されている核種が検出された。しかし, それらの濃度は我が国の排水濃度限度以下であった。

汚泥焼却処理に伴い煙突から放出される放射性物質による一般公衆の被曝線量, その他の核種が含まれる焼却灰の運搬に伴う運転手の被曝線量および埋立処理による作業者の被曝線量を各核種の最大濃度で計算した。結果として, 埋立処分場での作業者の被曝が, 最大値として0. 1mSv/yと計算されたが, 他の場合の被曝は, 一般公衆の実効線量限度1mSv/yに比べ十分低い値であった。

また, 埋立処理され一般公衆が立ち入るまでの間の放射性医薬品の崩壊を計算した結果, 放射性核種はほぼ1個まで崩壊するので, 一般公衆の被曝は無視しうることが分かった。さらに, 99mTcから壊変する99Tcによる被曝線量は0. 2fSv/yと計算され, きわめて低い値であった。


最近、週刊誌の騒ぎ立てなどを起因とする場合が多い、下水からヨウ素が出たとか言う話。医療行為によるもの、医療行為の際に患者が体内に含んだものが、その患者の帰宅後に自宅で排出されたものに起因するものなどが原因でした、というオチがついてオシマイなんだけど、何度となく「騒ぐのが便益になる」人達から持ちあがったりする。まずは調べようよ......

......というと、「前はなかったかもしれないじゃないか」「前々からあったなら、それはそれで問題じゃないか」と話の論点をずらして逆切れされる。ってことで覚え書きもかねて、10年以上前の調査結果を覚え書き。

あと、医療行為周りで個人を特定しようとかいう話もあるけど、とんでもないこと。プライバシーの問題とか、何だと思っているのかしらね。


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このページは、不破雷蔵が2011年9月19日 07:35に書いた記事です。

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