事前に補足説明を。ポスターに描かれている人物は「ザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー」。チュニジアの前大統領で、今年の1月にサウジに亡命している。1987年に大統領に就任して様々な改革を行ったが、去年末あたりから国内経済の悪化に伴い国民の不満が高まり、デモを誘発。次の選挙には出ないこと・総選挙の前倒しを公知するも国内の騒乱は収まらず、結局亡命を余儀なくされてしまう。いわゆる「ジャスミン革命」の発端となった人物の一人、とでもいうのかな。
で、現時点ではチュニジア国内では、同氏はしかめっ面の視線ビームを受ける対象。にもかかわらず壁に大きな肖像画。かつての支配体制を彷彿させるような感じで、当然人々は自然に集まり、不安を募らせ、怒号を浴びせる。そして最後には複数の男性が群がり、肖像画を引きずりおろす......
と、そこから出てきたのは「10月23日に選挙があるよ。民主主義が戻ってくるよ。投票しようね」の選挙公知のメッセージが。ようやくこれが「選挙のプロモーション」だったこと、同時に「これまで支配されてきた体制を自分達がひっくり返して、選挙で新しい世の中を創る」という状況を再現させるものであることに気が付き、周囲に居た人達の顔に笑顔が戻ってくるという話。
肖像画が引きずりおろされる前後の、人々の表情の違いを見るだけでも、プロモーションの効果のほどが良く分かる。
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