【更新】塩害農地改善に救世主、か?

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[塩害農地を1カ月で再生 大幅短縮、ベンチャーが開発]
【NTTドコモ発表資料】



東日本大震災の津波による塩害で台無しになった農地を「最短1カ月間で再生できる」という土壌改良材を京都市のベンチャー企業「マイファーム」が開発した。農地の再生を大幅に短くできるとして、NTTドコモとNECが復興支援の一環で、量産化の無償援助を決めた。

これに対し、マイファームが開発した改良材は、数種類の微生物と有機堆肥(たいひ)を混ぜたもので、微生物が土に残った塩分を分解する。「約1カ月で作付けができる土壌になり、3カ月でほぼ元通りの土壌になる」という。6月から宮城県岩沼市の被災農地で使ってみたところ、2.9%だった塩分濃度が2カ月間で0.8%まで下がり、8月末にはトマトを収穫できた。

●該当改良材解説

「潮害」は一般的に以下の3点が問題となります。

・塩化ナトリウム(NaCl)が多量に存在することにより浸透圧が高くなってしまい、植物の根の吸水作用を阻害することになります。
・土壌中に存在する植物に栄養素を供給する微生物が死滅し、塩分が下がっても作物ができなくなってしまいます。
・ナトリウムイオンとカルシウムイオンが交換されてしまい、カルシウムが不足してしまい、作物の生育過程でカルシウム不足によっておこる障害が発生します。

これらを解決し、作物ができる環境に戻すために私たちは数種類の微生物と有機堆肥を用いて塩害農地の土壌改良材を開発し、販売することにしました。

(別ページには「弊社が開発した、海水中の特殊なバクテリアを使って土壌中の塩分濃度を特別な灌水なしに低減させる技術の世界で初めての実証となり、3%以上あった塩分濃度が2週間後に1%、現在は0.7%に低減することに成功しました」とある)


......ということで、元記事やドコモ側のリリースには「塩分の分解」とあるけど、改良材提供元の資料では一言も「塩分の分解」という表記は無し。恐らくは理解しやすいように言葉を入れ替えたのだろうな。実態としては、土壌中の塩化ナトリウム、ナトリウムイオン、塩素イオンを取り込むような、なおかつ自身が水に流されやすい(あるいは何らかの物質で取りこんで流れやすくする)バクテリアが用いられているのだと思う。分子分解はともかく(酵素の力でならありうる)、原子分解・変換ができるバクテリアなんてのがあったら、それこそ大騒ぎになるからね(どれだけエネルギー使うんだか)。

農水省の試算では通常の手法(大量の真水で塩分を流し出す)で3年程度かかる除塩作業が数か月で済むというのなら、(副作用はどうなっているのか気になるけど)非常に興味深い話ではある。

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このページは、不破雷蔵が2011年10月30日 07:30に書いた記事です。

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