●放射能トラウマ
坪倉医師は、健診や健康相談で、一人当たり30分の時間をかけて、生活の状況や心配事を丁寧に聴いています。これまで大勢から話を聴いて、原発事故による最大の被害は、子供の放射能トラウマだと確信するようになったそうです。多くは、大人の放射能トラウマによる二次的放射能トラウマだそうです。年齢が低いほどトラウマの程度が強い印象があるとのことです。女子高校生が将来子供を産めないと話しているということまで伝わってきます。さらに、鬱状態になった大人がつらく当たって、子供に身体症状を伴うような深刻な影響が生じる事例が目に付くそうです。坪倉医師は、マスメディアの報道が、この地域に、放射能汚染そのものを超える大きな害をもたらしていると感じています。
医師でもある立谷秀清相馬市長も、子供の放射能トラウマが、地域の最大の問題だと考えています。放置すれば、子供たちが、社会に上手に適応できなくなるかもしれません。子供の教育に差し障りが生じるかもしれません。教育に差し障りが生じれば、一生、ハンディを背負うことになります。結果として、子供たちと地域社会の将来を奪うことになりかねません。科学的調査とそれに基づく対応策が求められます。それも、壮大な調査ではなく、調査目的を限定して、結果を早く出す必要があります。慢性被ばくより、はるかに深刻な被害が生じうるので、素早く対応しなければならないからです。
●病院倒産による健康リスク
生活上のリスクは、放射能以外にも、様々なところにあります。例えば、南相馬のすべての民間病院は、原発事故に伴い、大幅な減収になりました。しかし、減収分を補償されていないので、倒産する可能性が高いと考えられています。
南相馬市立総合病院も、医師や看護師が離職したため、震災前に比べて、稼働病床数が激減しました。もともと人口は、7万1千人でしたが、原発事故後、1万人まで減少しました。徐々に住民が戻り、8月段階で4万人になっています。入院診療サービスの提供が住民数に比して、圧倒的に足りていません。原町区の病床数は、震災前、4民間病院と市立病院会わせて816床だったものが、8月1日段階で使われているのは、96床(12%)だけでした。10月25日現在、原町区5病院中、2病院は病棟を閉鎖したままです。小高区にあった2病院は警戒区域にあって立ち入れないため、閉鎖されました。鹿島区には、もともと1病院しかありません。
(中略)
病院の減収分と、巷間伝えられている除染の費用は、けた違いに後者が大きいのです。少なくとも、現時点では、大規模な除染費用のごくわずかな部分を、病院につぎ込むだけで、住民の健康に関するリスクを減少させることができます。現状を見ると、期限付きで、資格を持った医療従事者の給与を50%上乗せするぐらいのことをしないと、必要な医療が提供できるようになりません。放射能ということばに惑わされずに、実在するリスクを冷静に比較して対応しなければなりません。
「医療現場」からの「専門家」らによる言及。昨今では国のトップが専門家や経験者を軽視してトーシロ任せを重要視するような方策をしていることから(まあ自分らがそれ自身なんで、そうやって肯定しておかないと自分達の存在意義を否定されるからネ)、こういう話も過去類を見ないほど軽視される傾向にある。でもこれは現実。
引用元は結構長いテキストだけど、是非全部を一読してほしい。特に子供を持つ親御さんには。子供周りの話は噂話として耳にすることが増えてきたけど、これは噂でも「デマの可能性のある話」でもなく、現場で直に触れてきた人達による、生の声。
無責任なメディアの姿勢への憤りも端々に見られる。このあたりの構造は、直近なら【職場や学校の混乱の押しつけ・マスコミの扇動......医療機関が感じる新型インフル患者の特徴】でも言及した、新型インフルエンザの時と何ら構造的に変わりが無い。そういや状況の悪化を鑑み、どうにかしようと努力していたところを、無双ぶりな報道ですべて台無しにして、ある地域の産婦人科医を壊滅状態に追いやった揚げ句、「素晴らしい報道姿勢だ」と内部的に表彰、後になって医療関係から広告出稿が無くなったところ、「理解してほしい」と訳のわからないことを言い訳にして広告出稿を願ったのは、どんな方々でしたっけかな。
とりあえず。子供のトラウマ周りがデマでも創り話でも何でないことを実するための、覚え書き。
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