富士経済は電力会社の電力不足にもかかわらず、独立系の特定規模電気事業者(PPS)の電力販売量も伸び悩むとの調査をまとめた。全国的な電力不足がPPSの調達難に及び、顧客を失うケースまで生じているほか、需要家PPSと呼ぶ事業者が相次いで撤退。日本卸電力取引所(JEPX)の一時停止などもあり、2011年度の販売量見込みは前年度比0・5%増の200・6億キロワット時、15年度も214・5億キロワット時にとどまると予測した。
【国内のエネルギー自由化市場とエネルギーサービス市場を調査】
1)販売電力量の抑制 電力の調達が困難になり、契約解除も発生
東京エリアにおける日本卸電力取引所(以下、JEPX)の一時停止と電力価格の高止まり、電力需給の逼迫による自家発電設備からの余剰電力獲得難などを受け、電力の安定調達が困難となっており、既存顧客との契約を解除するケースも発生している。また、夏季の大口需要家への節電要請をはじめとして全国的に節電対策が進められたことにより、特別高圧分野において販売電力量が減少している。
2)「需要家PPS」の低迷 PPS市場からの撤退や参入見送りが相次ぐ
需要家PPSとは、自社や自社グループの電力調達コスト削減を主目的として、保有電源や他社の余剰電力、JEPXなどを活用して電力供給を行う事業者である。2010年頃から参入が続いていたが、震災以降、需要家PPSの電力需給を調整する場であったJEPXの一時停止もあり、事業からの撤退や参入見送りが相次いでいる。JEPX再開後も、電力価格の上昇によりコストメリットが得にくくなっており、今後も需要家PPSの低迷は続くと見られる。
3)JEPXへの依存 一般電気事業者の発電能力に左右されるJEPXの電力価格
JEPXにおける電力価格は、実質的に一般電気事業者の発電能力に左右されており、一般電気事業者の設備が正常に稼働する状態であれば、PPSが自社で発電設備を開発・保有するより低コストで電力を調達できる。しかし、原子力発電所の事故や長期停止など、電力需給が逼迫する状態になれば、一気に価格が高騰するため、JEPXへ依存度の高いPPSの事業継続性や採算性を大きく左右している。
電力需給の逼迫は長期化する見通しであり、電力価格の高止まりや燃料価格の高騰などによる電力調達難は続くと見られ、PPSのトレンドは「攻め」から「守り」へと変化している。
「自由経済を三回唱えればすべて物事は解決すると民衆は思っている」の類を佐藤某先生の小説で目にした記憶を思い起こされた次第だけど。PPSのニーズが高まる時って、結局PPS側でも調達が困難な場面が多いわけで(昨今の震災が好例)。PPS側も「新規顧客の獲得から既存顧客への安定供給へ事業の軸足をシフト」との言及も確認できる。
マネジメントサービスなど、知識や経験、情報の提供系はまだまだ伸びそうだけどね。
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