●日本は,アメリカに比べ完全失業率が低め,または高めに出る傾向がありますか?
日本の労働力調査は,アメリカと同様に,ILOの国際基準に準拠して行われています。日本でもアメリカでも,完全失業者の定義は,(1)「仕事についていない」,(2)「仕事があればすぐつくことができる」,(3)「仕事を探す活動をしていた」者となっており,相互比較は可能です。ただし,各国の就業事情に合わせて,完全失業者の細かい定義には,若干の違いがあります。
例えば,日本では,過去1週間以内に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた者のほか,過去の求職活動の結果を待っていた者も含めて「仕事を探す活動をしていた」者と定義していますが,アメリカでは,過去4週間以内に仕事を探していた者のみ(過去4週間より前の求職活動の結果を待っていた者は含めない)としており,一概にどちらの失業率が低め又は高めに出るというような傾向はありません。
なお,OECD(経済協力開発機構)においては,各国の失業率をILO基準にできるだけ近づけるような調整を行った失業率(HUR)を30か国について算出・公表していますが,日本,アメリカ,カナダなどの国の失業率は,ILO基準に準拠していることから,政府による公表値がそのまま使われています。
2009年秋以降、「なぜか」あまり報道などで騒がれなくなった話の一つ、失業率周りの件。先日から【2011年は176万人、前年比で2万人増加・フリーターの推移をグラフ化してみる】などのように、最新の労働力調査結果を元にした記事をあげているので、それに合わせるという形で。
一番よく問題視されるのがこれ。「日本の基準は甘いから、国は実情を隠しているんだ」「な、なんだってー!?」という非難をよく耳にしたけど(今は「なぜか」あまり聞かないね。なんでだろう)、基本的にはこんな感じで、国際基準に基づいた形となっている。もちろん制度そのものがことなるので、厳密には違う部分もあるだろうけど(同一環境下にないものを比較するのだから、環境の差異による違いは仕方が無い)。
日本の場合はむしろ、生活保護や企業内失業者(「予備」ではなく「余剰」の話。それと関連して雇用調整助成金の件とかね)の問題の方が大きいんじゃないかな(いや、これも日本だけに限らないのだけどね。もっとも後者の場合、海外だとスパスパ解雇される可能性もあるのだけど。いわゆる「雇用の流動化」)。
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