福島第1原発事故を受けた北陸電力や関西電力の原発停止で、富山県内の水力発電所がフル稼働となり、発電を中止して行う大型水車などの分解・点検や発電所周辺の工事ができない状態が続いている。夏場の電力不足も指摘される中、作業を開始する見通しは立っておらず、特に大型水車の分解・点検には専門技術が必要とされることから、関係者の間では技術の継承を懸念する声も出始めている。
北陸電力は昨年夏に3カ月程度をかけ、富山市の有峰第一~第三(出力40万5千キロワット)と和田川第二(同12万キロワット)の水力発電所で、大型水車や発電機の分解・点検、変圧器の補修などを行う予定だった。しかし、電力供給が逼(ひっ)迫(ぱく)したため、いずれも2013年度以降に先送りした。大型水車などの分解・点検は10年から15年に一度の作業だが、北電は「火力だけに頼るわけにいかず、緊急性がなければ大型の水力発電は止められない」(地域広報部)と説明する。
こうした状況に、大型水車などの分解・点検を担ってきた県内企業からは技術の継承に懸念が出ている。北電や関電の大型水車などの分解・点検に実績がある「でんそく」(富山市)の櫻井賤男社長は「経験がものを言う仕事であり、このままでは若手の育成もできない。水力発電所の設備は壊れるとさらにコストがかかるため、本来は点検することが望ましい」と指摘している。
火力発電所の無茶ぶりは以前【火力発電所の「働き」具合】などで触れたけど、水力発電もまたしかり、という話。4人しか開発がおらず、しかもうち1人は先日入社したばかりでプログラムもろくに分からず、今後戦力になるかどうかも分からないようなゲーム制作会社で、うち一人が突然「お前働くなよ」とクライアントから強い「要請」を受けて作業に参加できなくなったんだから、他の2人(事実上)が過労状態になるのは当然の話。
その上でそのクライアント側が「2人が体を壊したり深夜まで作業するのは甘えだ、会社の管理がなってない」とか、「残業手当でコストがかさむから追加費用を出せだ? ふざけるな横暴だ」と文句を言い出す始末。例えるのなら現状はこんな感じ。そして今件は多分に、富山県内に限った話ではないはず。
今はまだ現場の尽力ぶりもあり、何とか体裁は保っているけどね。本来こういう「リスク軽減のための事前手配」、もっと分かりやすくいうと「こんなこともあろうかと、という備え」こそが、日本の長所であり特技の一つなんだけどな。それを極力排除しようとする動きって、いったい「騒いでいる」人達はどういう信条を持っているんだろうか。
何かトラブルが起きたら起きたで、「彼ら」はまたこういう電力関係者なりを詰るんだろうなあ......
コメントする