[JSTなど、震災救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査結果を発表]
JST 課題達成型基礎研究の一環として、国立病院機構 災害医療センター 精神科の松岡 豊 医師らは、東日本大震災の被災地に派遣された災害派遣医療チーム隊員のうち、救援活動直後の精神的苦痛が大きかった人と震災1ヵ月後の震災関連のテレビ視聴時間が長かった人では、震災4ヵ月後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)(注1)症状が強く見られることを明らかにしました。
大きな災害が発生した後には、被災者だけでなく救援者もPTSDになり得ることがこれまでの研究で明らかになっています。富山大学の井ノ口 馨 教授を研究代表者とするCREST研究チームは、恐怖記憶形成の分子機構と、それを基にしたPTSD発症リスク軽減法の創出を目指し研究を行っています。本研究はこの一環として、効果的なPTSD予防策につながる知見を得るために行われました。
本研究では、被災地で活動した災害派遣医療チームの隊員254人を対象に、救援活動後の2011年4月に活動内容や救援活動でどのような苦痛を感じたかなどの、アンケート調査を行いました。そして、2011年7月から8月までの間に追跡調査(約68%の173人が参加)を行い、初回調査の時点でどのような特徴を持っている人にPTSD症状が強く見られるかを検討しました。その結果、(1)精神的苦痛の包括的評価法PDI(Peritraumatic Distress Inventory)(注2)で得点が高かった人、(2)震災関連のテレビの平均視聴時間が1日4時間以上であった人に、PTSD症状が強く見られることが分かりました。また、PDIのなかでも「感情的になった自分を恥じた」、「感情的に取り乱しそうになった」という項目が、特にPTSD症状と関連が見られました。
本研究成果は、災害後にPTSD症状が強く現れる危険性が高い救援者の早期発見や、災害後のPTSD予防策の構築に寄与することが期待されます。
本研究は、国立病院機構 災害医療センター 精神科の西 大輔 科長(現 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 室長)、臨床研究部の小井土 雄一 部長らと共同で行ったもので、本研究成果は2012年4月25日(米国東部時間)に米国科学雑誌「PLoS ONE」で公開されます。
災害後は当事者だけでなく救助活動に当たった人も合わせ、精神的苦痛に追いやられることが多い。非日常的な状態に長時間置かれると、心が持たないんだね。本文にもある通り、救済者によるPTSD発症事例は色々な前例があるんだけど、今件は「ストレスを受けたと自覚している人」以外に、客観的自称として「テレビ視聴が長かった人」において、PTSD症状が強く出るという結果が明らかになってしまった。
これが例えば「好きなアニメばかり見ていた」とか「娯楽番組だけを視聴していた」とかなら話は別なんだけどね。番組構成に関する配慮が欠けていた......というのは、テレビを見ていた人なら理解できるはず。
似たような話がテレビなどの媒体で出てくると、多分に「規制しろ取り締まれルールを作れ」と騒ぎたてるメディアも、今件では一切タッチしないだろうね。要は大義名分の大部分は、自分らの都合の良いように解釈された、「権益確保と増大のための手段」に過ぎないってことさ。
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