↑ しかくいシカク (1)
「ふおんコネクト!」のざら先生による「まんがタイムきらら」での新連載作品の単行本第一巻め。デジカメやケータイ、スマホのデジカメ機能で社会生活に溶け込んだ「カメラ」「写真」にスポットライトを当て、写真部で暗躍、もとい活躍する四人の個性に満ちあふれた女子高生達の姿が描かれている。
元々「ふおんコネクト!」の続編的な立ち位置でのプロットで設定されていたことから、それらしさを覚えるところも多分にある一方、後書きにもある通り「ふおん」とは違った切り口での作品の組まれ方に、にやりとさせられるところは多い。
カメラという、やもすれば専門的な話ばかりで素人が引いてしまいそうなテーマを、ケータイカメラも盛り込んだり、写真そのものの撮り方への姿勢など身近なポイントで切り込んでいるのも好感触。
数式でなら(「ふおん」+「わがままDIY」)÷2)^(新しい視点での切り口)といった感じで雰囲気を表現できるかな。
......と書き直し版を上にあげておいて。
実は当初はアマゾンでの感想文をベースに、下記の紹介記事をあげたんだけど、「長い」という意見があちこちから寄せられて。「そうだ、ここってLSだから長文はあまり......」ということで書き直した次第。
んで。元の文を消すのは少々もったいないので、下にコピペ、と。
ざら先生が「まんがタイムきらら」で織り成す新たな世界は、「カメラ」にスポットライトを当てた、女子高生らによる写真部でのスラップスティック的な物語。多分に同先生著書「わがままDIY」的な香りも漂う、ちょっと変わった雰囲気がまた魅力的なのは、「ふおんコネクト!」の魂を引き継いだ感がある。
一巻における主な登場人物は、「呼吸(いき)をするように写真を撮る」カメラ娘で黙っていれば華麗な美少女、しかし中身は「非常に残念な親父娘」渡会 十子(わたらい・とうこ)。ドタバタ活劇にはありがちな普通の女の子......に見えて意外なセンスと類稀なる知識と内面(?!)を秘めた、後頭部に被る猫のお面が色々な心理描写をしている点でも面白い新阪 魚(にいさか・うお)。帰国子女で運動神経抜群、日本の常識とは多少ずれたセンスを持ち前のアグレッシブさでカバーする、突っ込み役として、さらには十子のセクハラのターゲットとしても写真部に欠かせない内富良 茜(なぶら・あかね)、さらには途中から登場した、リサイクルショップを実家に持つカメラフェチ、久田 桃枝(ひさだ・ももえ)。いずれもひとくせもふたくせもある、それでいて憎めない生徒ばかり。それらを統括するのが、彼女らを軽くあしらうだけの器量と糖分を自在に操るスキル(半分ウソ)を持つ、知的な女性の魅力あふれた存在、学校そばの甘味処を実家に持つ、顧問の一天 円(ひとあま まどか)。
デジカメやデジカメ機能付きの携帯電話、さらにはスマートフォンの普及により、写真を撮るという行為が世間一般化した現在において、「カメラを用いた撮影」は日常生活に深く浸透した存在ではある。その日常化した「写真」「カメラ」を深く掘り下げる部活動でのドタバタ劇の中で、個性と個性のすれ違い、そして触れあいを通じて深まる気持ちの通い合いが、じわりじわりと語られている。彼女らが使うカメラも専門的なものから「ケータイ」まで多種多様。「マニア的なカメラだから自分のものとは世界が違うな」という違和感・疎遠感を覚えることもない(そもそも専門技術的な話はほとんどなく、一般的な「撮影の際の心得」的な話がテーマ・元ネタとなる場合が多い)。
単行本化にあたり話と話の間の挿入カットにはストーリー補完やカメラ系の言葉の解説がなされており、多様な面で話を補完してくれる。また後書きでは各キャラの名前の由来や、「しかくか」こと本作品「しかくいシカク」が初期設定では(カメラをメインテーマに据えるという点では同じだが)「ふおんコネクト!」のあの先生が登場する話だったことなど、色々と驚きの事実が明かされる。
「ふおんコネクト!」と香りが似ている雰囲気、そして同時に覚える「違い」は、後書きを見ると「なるほど」というのが理解できる。上記の「話がつながっているような初期設定」がパスされ、白紙に戻した上での話ということもあり、色々なチャレンジをしたとのこと。それらの確認も合わせ、あちこちに散りばめられた小ネタや細かい設定を再度見つけたり、新たな発見を覚えながら、読み進めることをお勧めしたい。
......と、ちょいと手抜き感はあるけど(意味はアマゾンで確認のこと(笑))とりあえず調達&購読。アマゾン経由での購入なので特典などが無いのは惜しまれるけど、その分じんわりと楽しませてもらうってことで。二度三度繰り返して読むうちに、新たな理解や面白みが理解できることもある、読みごたえのある作品の一つだからねえ。うんうん。
(最終更新:2013/08/26)
コメントする