↑ 遥かなる星-3
「君は市場経済を理解しているか?」
「自由競争によって成り立つ売買の制度、そう理解していますが」
「その程度なら私でも分かっている。しかし、その制度を実現するにあたって、どれほどの資源が必要とされるか、想像がつくか? これは必ずしも資金のことばかりを述べているわけではないぞ」
「つきませんね。火星に植民する方がまだ楽かもしれません、閣下」
「その通りだ。だが、誰もかれもが、その言葉を唱えた途端に、すべてが変化すると信じ込んでいる」
恐らく彼は「市場経済制、市場経済制、市場経済制」と三度同じ言葉を唱えさえすれば、薄汚れてしまったこの青い星の赤い大地が白く変わると信じているのだろう。
当方の持つ版では95ページあたりから。ガガーリンがお抱えの運転手との間で交わした会話から(後半はゴルバチョフに対する感想)。電力周りで色々と無茶な話しぶりをする人達のイメージと多分にだぶるところがあったので(特に唱えれば云々のあたり)、取り急ぎ覚え書きの形で。検索の過程で見つけた【佐藤大輔作品<遙かなる星>年表】と合わせて。
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