【特集:日本産業の中期展望-日本産業が輝きを取り戻すための有望分野を探る-(みずほコーポレート銀行)】
【3.電力産業~我が国の電力供給体制を考える~(発送電分離論の再燃を踏まえて) 】
↑ 3.電力産業~我が国の電力供給体制を考える~(発送電分離論の再燃を踏まえて)のまとめの部分
福島原発事故後に発送電分離論が再燃したことは、国民感情的には受け入れ易い面があったかもしれないが、発送電分離論を採り上げ、現状の電力供給体制自体を悪者にする一部マスコミの論調には違和感を覚える。その理由は「福島原発事故」と「発送電分離論」との間の因果関係が不明確だからである。
2010年に策定された我が国のエネルギー政策は福島原発事故により大幅な見直しを迫られている。少資源国である我が国において、総合エネルギー政策は、防衛、外交、社会保障、財政等と並び国家の根幹を成す基本政策の一つであり、電力供給体制を検討する上で必須の前提である。斯かる状況下において、民衆迎合のワイドショー的な扇情論や、イデオロギーの戦いとなる原理主義的な議論は排除すべきであろう。
求められるものは、事実に即した冷静な議論である。「電力を安定的に供給し続けることが日本経済・産業の礎であり、国民生活安寧の基本」という原点に立ち戻れば、導き出される現実的な電力供給体制は、現状の体制と連続性があるべきではないだろうか。
5月7日に発表されたレポート。銀行系のレポートはやもすれば専門分野以外は的外れ的な内容を多分に盛り込んだものとなりがちなんだけど、今件は手堅くまとめられているので、安心して読める。特に「IV.業種別の中期展望」の部分は、上記の電力回りのを筆頭に、サービスやメディアなどの分野における現状認識と将来展望を推し量る視点で、有意義な資料となりうる出来映え。各セクタの現状を把握する素材として、覚え書き。
......上記の電力問題、発送電回りの話も、現状を正しく把握し、理路整然と考えればこんな感じの結論に達するのは当然至極なんだけどねえ。どこぞのシンクタンクの主張とは大違い。
コメントする