[歩行中のメール操作で事故増加、規制検討の米自治体も]
携帯メールを操作したり音楽を聴いたりしながら道路を横断する歩行者が米国で問題になっている。一部の州では道路横断中の携帯電話や音楽プレーヤー使用を禁じる法案の提出も検討されているという。
自分は複数の作業を同時にこなせるから大丈夫と思っている人も多いが、それは幻想だとマサチューセッツ工科大学のアール・ミラー教授(神経科学)は言う。「私たちの神経はマルチタスクがうまくこなせるようにはできていない。マルチタスクができているつもりでも、実際には1つの作業から別の作業へと瞬時に切り替えているにすぎない。そして切り替えのたび認知力に影響する」。
特に歩きながらのメール操作の場合、命の危険が伴うと同教授は言い、「自分に向かってくるものが見えないところに危険がある。運転中のメール操作が良くないのと同じように、歩きながらのメール操作も良くない」と警鐘を鳴らす。
脳が一度に受け入れることのできる情報に限界があることは、同教授の研究でも示されている。人間の脳は重要性が高いと判断したものを選択するようにできており、歩きながら携帯メールを操作したり音楽を聴いたりすれば、安全を保つために必要な情報を脳が受信できない可能性があるという。
大抵の人は「ちゃんと注意しているから大丈夫」というのだけど、その「ちゃんと」の部分が本来の「単なる歩行」と比べると注意力に欠けて、その分リスクが高まっている。足し算引き算が出来れば誰にでも分かる理屈のはずなんだけどね。特にゴジック表記した、マルチタスク回りの話は要注目。
最近では前後に子供を乗せて、しかも携帯を操作しながら歩道の真ん中を突っ走るお母様の自転車を見かけ、「何かあったとして、巻き込まれる方もはた迷惑だよな」と思う経験もある。現行制度を超えた本格的な規制と啓蒙活動が必要な時期なんじゃないかなあ。
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