電力自由化の行きつく先...テキサス州での事例

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【需給逼迫するも発電所投資の進まないテキサス】

↑ ERCOT
↑ ERCOT提示のチャート


電力自由化されたテキサス州の系統運用機関であるERCOTは、2012年5月22日に需給予測レポートを公表した。これによれば、予備力を含めた電力供給容量は2014年には、需要に安定供給(需要の急増や発電機のダウン)に必要な13.75%のマージンを加えた量を下回る。そして、2022年には需要を下回る。

発電会社としては、需給逼迫すれば卸電力価格は暴騰するので、ちっとも困らない。そこを、どうやって投資させるかという制度設計が電力自由化の成否を分かつところだが、テキサス州はうまくいってないようだ。


【「市場経済制、市場経済制、市場経済制」と三度同じ言葉を唱えさえすれば】の話にもあるけど、発送電分離の上での電力自由化が「一部の方々」の旗の下で騒がれてはいるけれど。

大抵においては「安くなるはずだ」という希望的観測に基づいた論理展開がなされている。「株価と同じで条件次第で上げ下げする。常に一方向への動きを期待するのは愚かな投資家と同じ」「自由価格競争が行われている小売商品、例えば食品は値が下がる一方だったかな?」と現実例を提示すると、これまた大抵においては逆切れする形で「独占ガー」と、当初とは違ったベクトルでの主張が始まる次第。

現実と希望的観測をごちゃごちゃにしている悪しき例でもあるし、現実は「発電会社としては、需給逼迫すれば卸電力価格は暴騰するので、ちっとも困らない」との表記でも説明されているような事態は容易に起きうる(だって「自由競争」だものねえ)。

百歩譲って嗜好品とかならまだしも、「安定的存在」が前提となるインフラでそれをやられたら困るわけで。安い高いは二の次、三の次。見えていない、気がつかない、気がつかないふりをしている「便益」を放り投げてまで、優先順位の低いものに手を出し、あぶはち取らずになるのは御免こうむりたい。


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このページは、不破雷蔵が2012年6月 2日 08:46に書いた記事です。

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