【迫る節電の夏 どうする関西企業(1)】
【迫る節電の夏 どうする関西企業(2)】
【迫る節電の夏 どうする関西企業(3)】
●化学工場への影響大きく
関西電力・大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が決まった。関電の節電目標は3号機のフル稼働で15%から10%に引き下げられ、電力需給のひっ迫による生産への影響を懸念した化学業界は一息ついた格好だ。しかし、計画停電の可能性は消えておらず、各社の危機感はいぜん強い。関電管内に工場を持つ各社の動きを追った。
●長時間反応難しく
関西化学工業協会は今月5日、資源エネルギー庁から電力対策の担当者を招き今夏の電力需給をテーマに説明会を開いた。大きな関心事だけに会合には多くの関係者が集まった。化学工場は多様な装置が稼働しており、電力問題は歩留まりや品質など幅広く影響する可能性がある。
「反応をともなう化学の製造現場は組立工場などと比べると計画停電のダメージが比較にならないぐらい大きい。化学反応は長時間に及ぶものも多く、計画停電されるとその日は仕事にならず大きな損失を被る」。ファインケミカル専業のスガイ化学工業の長岡雅次社長は、厳しい表情で業界が直面している窮状をこのように話す。
別のメーカー幹部は「化学工場にとっては突然の停電が最も怖い。化学プラントには非常停止の装置が備わっているからプラントが暴走することはないが、毒ガスの発生や爆発の危険がゼロではない。そのことを国や行政は分かっているのか」と憤りを隠せない様子だ。日本の化学企業、とくに中小メーカーは中国など新興国の攻勢や顧客の海外シフトで収益性が悪化。そこに超円高や電力問題が加わり、経営環境は厳しさを増している。「電力問題の混乱が長引けば、廃業や倒産に追い込まれる企業が出ても不思議ではない」(専門商社役員)。
昨年の震災後の電力不足や工場の停止でどたばた騒ぎとなった、印刷関連の素材動向をリサーチしている過程で見つけた、化学工業日報。その後も巡回リストに加えてチェックはしているのだけど、先日こんな連載を見つけたので、まとめて覚書。
電力供給量の不安や節電要請、さらには計画停電などについて、一般世帯の家庭内、しかも前世紀レベルの状況を想像して「大して問題ないから別にいいじゃん」と無責任な発言をするだけでなく、周囲にその考えを強要する動きが一部であるのは事実だけど。実際はそんなものではないということの一端が、この化学系企業の動向を読めば分かるはず。いわばマラソンランナーに「息を一定期間止めろ、呼吸回数を制限する」「中継地点でのドリンクは休止」と言っているようなものだからね。
問題は、「無責任な発言」をするような人ほど、こういう実態を知ろうとしないことなんだよねえ......あるいは「企業は嘘をついている、甘えている」と逆切れするとかさ。はふぅ。
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