オスプレイ問題は、イデオロギーとは別のレベルで、マスメディアというシステムの欠点をさらけ出しているのです。それは、単純かつセンセーショナルなイメージで、世の中を語ろうとする性質です。
マスメディアとは、マスメディアというシステムによって生み出される「衆愚」を踊らせるための技の大系であり、新奇な機体であるオスプレイというネタをそこに放り込むと、ほとんど自動的に「オスプレイはアブナイ」という料理がでてきてしまうのです。
オスプレイの料理法は教科書通りで、「衆愚操作法」のお手本に使えるほどです。その手順は以下のとおりです。
1)強烈なイメージを視聴者/読者の脳髄に叩きこむ。
→オスプレイの場合、事故映像を見せたり、「未亡人製造機」というレッテルを貼り付けます。
2) イメージを「自分の問題」として認識させる。
→今年起きた2件の事故を紹介します。
3) イメージを数字で補強する。
→オスプレイの事故率の高さを印象づけるデータを紹介します。
数字ほど恣意的にいくらでも操作できるものはありません。統計から一部を取り出せば、どんな論でも組みたてることができます。しかし視聴者/読者の頭には、数字=客観的とのイメージがあるので、出した者勝ちで都合のよい数字を提供すれば、漠然とした恐怖は具体的な裏付けを持つ恐怖として認識されるようになるのです。
4) イメージを権威で補強する。
→アメリカ人の専門家にオスプレイの危険性を訴えさせる。
マスコミは往々にして反権力を気取りますが、実はマスコミ報道ほど権威主義的なものはありません。マスコミ報道の肝は、論旨ではなく肩書きで語ることにあります。実際には専門家といっても意見はそれぞれで、論旨不明瞭な人もいれば、イッちゃってる人もいます。さらには長いインタビューから一言二言欲しいコメントを抜き出すわけなので、ディレクター/記者の意図にあわせていくらでも細工できます。ですから現実にはマスコミに登場する専門家ほどあてにならないものはありません。しかしこれこそマスコミ報道の決定打で、大学教授や専門家という肩書きさえあれば、衆愚へのイメージ植え付けはいよいよ確実なものとなるのです。
というわけで、新奇な機体であるオスプレイは、マスメディアのツボにピタリと嵌る、煽りの要素をすべて兼ね備えたイジリがいのあるネタ、ネギを背負ったカモのような存在なのです。ですから、何人かの工作員が「オスプレイは危ない!」と声をあげれば、マスメディアはビビッと反応して、嬉々として煽り始めるのです。
引用元の最後の部分(今回引用自身はしていない)はややこじつけなきらいがあるけど、要は昨今の異常なオスプレイ報道(...というよりアンチプロパガンダだな)は、報道にとって「オスプレイ叩き、美味しいです^q^ これまでのあおり方法が使える、カモネギ素材です」だからという分析。
まぁ確かに未来兵器的なところがあるんで、「こんなもの、ちゃんと動くわけねーじゃん!」的な偏見が、黙っていても(特にテレビ視聴者のメインであるシニア層に)あるだろうから、さらに効果的なんだろうな、と。
ただねえ。
昔はテレビも雑誌も新聞も、半ば以上一過性・一方向メディアだったから「言いっ放し」「投げっぱなし」で、ぼんやりとした印象を重ねさせることが上手くいってるけど、昨今では記録メディアも浸透しているし、インターネットで情報の蓄積・検索による再検証が容易になっているからねえ。それでもなお、過去のやり方を繰り返していると、段々と自らの首を絞めるようになるよ?
だからかな。
2005年以降、急激に4マスがメディア力が減退を始めているとか、特にテレビや新聞が自らの記録の保全・再検証ができるような、不特定多数の容易なアクセス環境の整備を極端に嫌うのは。
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