【新信濃変電所構内の火災による周波数変換設備の停止について】
[東電の変換装置で火災 東西の電力融通能力6割減]
↑ 国内連系線と運用容量(2006年度における2015年度需要時ピーク時)(2007年2月 電力系統利用協議会「連系線整備(建設・増強」に関する勉強会とりまとめ報告書より作成) ※クリックで拡大表示
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平成24年8月3日17時37分頃、当社新信濃変電所(所在地:長野県東筑摩郡朝日村古見2896-1)1号変圧器に接続される電力用コンデンサ付近で火災が発生し、その影響により同変電所構内にある周波数変換設備(1号:30万kW、2号:30万kW)を停止いたしました。
火災については、17時40分、消防に連絡し、21時47分頃に消防から鎮火を確認いただきました。現在、火災の原因について調査中であり、周波数変換設備の復旧見通しも現時点では不明であります。
なお、当社の供給力については、当社ホームページでもお知らせさせていただいておりますが、本日時点で、8月6日~10日、13日の週においては、それぞれ予備率10%以上を確保しており、安定供給に直ちに影響はないものと考えております。
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中部電力と電力を融通する際に使う容量60万キロワットの周波数変換装置(FC)を停止したと発表した。東西日本間の融通能力が約6割減ったことになる。復旧の見通しは立っておらず、修復が長引けば東電管内だけでなく中西日本の需給逼迫要因になる恐れもある。
東電によると敷地内の蓄電装置から出火。すでに鎮火したが、周辺の機器やケーブルなども損傷し、FCを稼働できなくなった。主要設備である変圧器に異常はなく、長野県内で発電した電気を首都圏に送電することは可能としている。
FCは現在、東電が同変電所に、中部電とJパワーがそれぞれ静岡県内に保有。合計約100万キロワットの電力を、周波数の異なる東日本と西日本の間で融通できる。
上の図版は【各電力会社間の電力の融通具合を図にしてみる】で作成したもの。その記事にもある通り、「中部-東京電力間は図の上では120万kWとあるが、現状では上記にある通り103万kWが上限である。また、これらの値は「上限」であり、常にこの電力がやりとりされているわけではない」。で、そのうち約6割がトラブルで使えなくなった。中部電力、そしてそこからところてん式に考えて関西電力方面などへ(わずかな余裕のやりとり・やりくり)がさらにしにくくなるわけだ。「融通が利かなくなる、タイトになる」というところ。
昨年の震災後における夏期の電力規制期間中にも、東北-北海道電力間の連系線がトラブるなど、事故や不具合はごく当たり前のように起きる。それは毎日自動車事故が起き、盗難や窃盗事件が発生し、テレビでキャスターが読み間違いをしたり新聞や雑誌で誤植が見つかるのと同じ。そういう「イレギュラー」への備えこそが「余裕」「予備」が必要となる理由の一つなわけだ。
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