【防衛医科大など、大量出血でも止血可能な「血小板代替物ナノ粒子」を開発】
【ナノ粒子による外傷性大量出血の止血治療 大規模災害時の大量出血患者治療に福音(武岡研・防衛医大など共同研究)】
↑ 仕組み
防衛医科大学校、早稲田大学(早大)、慶應義塾大学(慶応大)は9月4日、出血部位で血栓を効率よく作り止血効果をもたらすナノ粒子、いわば「血小板代替物」を開発し、これが「外傷性大量出血」時の止血に効果があることを報告したと発表した。
首都直下地震や東海地震では、建物倒壊や事故などによる外傷患者が多発し、中でも大けがにより大量出血を来たしたヒトには迅速な輸血が必要となる。また、バイクの交通事故などは身体がむき出しのため、大けがにつながることが多い。
しかし、そうした場合に通常の赤血球輸血では血小板が入っていないため出血を止めらない。止血には血小板輸血が必要だが、輸血用血小板は保存期限が1週間程度と短いのが難点だ。そうした理由から、通常時でもストックが十二分とはいえず、大きな交通事故が重なったりすると、ストックが不足してしまうことがある。よって、大震災ともなれば、輸血用血小板の極端な不足が懸念されるというわけだ。
そこで、オールジャパン体制で血小板代替物の研究が進められてきており、今回の血小板代替物ナノ粒子の開発に至った。血小板代替えナノ粒子は、生体由来の材料をまったく用いずに作製できることが大きな特長だ。そのため、血液型を合わせる必要もないし、エイズや肝炎などの血液感染症の危険もない。
また、本来の血小板のように振とうしながら厳重な温度管理(20~24℃)をして保存する必要もなく、ただ静置するだけで血小板のほぼ25倍の6カ月間の保存が可能だ。さらに、大量生産も可能とまさにメリットだらけという具合である。
止血には欠かせない輸血用血小板の保存期間が短いため、突発的に大量に必要になった場合は頭をかかえる事態となる。そのような状況の解消のための研究成果が出たようだぞ、という話。今後実証実験を重ねた上で、実用化を検討しているとのこと。これまでの検証でも状況は良好で期待がもてるとのことで、ちょっと注目しておきたい。
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