ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は16日、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ(約1兆2500億円)規模のキプロス救済計画に合意した。
ユーログループ議長を務めるダイセルブルーム蘭財務相は会合後に記者団に対し、キプロスが支援を受ける条件として同国は10万ユーロ未満の銀行預金に6.75%の課税、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税を実施すると説明した。ブリュッセルで15日午後5時(日本時間16日午前1時)に始まった同会合は10時間の討議の末、合意をまとめた。
欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理事によると、預金口座からの徴税分は直ちに凍結された。3月18日は祝日で銀行が休業となる予定で、19日の営業再開前に税金として徴収される。同理事は銀行預金への徴税はキプロスの税収基盤を拡大する上で必要だったと述べた。
18日はキプロスの休日で、同国議会は銀行が営業を再開する19日までに必要な法律を可決し、課税を完了する。
預金封鎖は全預金のうち、課税対象となる10%弱の部分が対象。預金への課税はこれまでギリシャなどでも行われなかった異例の措置だ。キプロスの銀行口座保有者の半数近くはロシア人とみられており、ロシアの富裕層や犯罪組織による脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)の可能性が指摘されている。
先日のCPD周りの記事【国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる(2013年3月15日版)】でキプロスのCPDが大きく減少した理由として挙げた、ユーロ圏の財務相会合におけるキプロス支援策が正式に決定。それに際し支援の条件として挙げられた、銀行口座からの強制課税が電撃的に行われたという話。一種の取り付け騒ぎみたいだけど、口座の一時的ロックには違いないものの、全額がアウトになるわけではないので、まだマシなのかも。
【キプロスが電撃的に預金を封鎖、預金者は10%近い銀行残高を「預金税」という名目で失う事に】に詳しい説明があるけど、預金の少なからずは税金回避のために他国から預けられたものであり、そのような預金をEUの資金で丸ごと救済するのはまかりならぬという思惑があるらしい。
まぁ、そのようなお国事情があるのなら理解はできるし、丸ごと吹っ飛ぶよりはマシなのもなるほど感。ただし見方を変えれば、それほどまでに危機的な状況にあったわけで、CPDがギリシャ、アルゼンチン、パキスタンに続き高い値を示しているのも理解はできるかなと。
為替が幾分反応してるけど、想定の範囲内だとは思う。しばらくは過剰反応示すだろうけどね。
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