【「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問】
↑ 「国家は破綻する」
マサチューセッツ大学アマースト校の博士課程に学ぶトーマス・ハーンドンがこの論文に書かれている結果を再現しようとしたところ、ロゴフ教授とラインハート教授が主張するような、「国家負債が90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化する」という結果が得られませんでした。そこで彼の指導教授であるマイケル・アッシュ教授ならびにロバート・ポーリン教授とともに「結果がそうならなかった」という指摘をしました。
これが両者の間で論争を巻き起こしましたが、結局、ロゴフ教授とラインハート教授がエクセルのスプレッドシートを操作する際、コーディングのミスをした為、一部のデータが演算に反映されていなかったことが判明しました。
ロゴフ教授とラインハート教授がエクセル操作上の凡ミスを全面的に認め、謝罪の声明を出すということで論争には終止符が打たれました。
米ハーバード大学の経済学者、カーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏の公的債務をめぐる研究に誤りがあると米研究者らが指摘していた問題で、両氏は17日、研究内容に誤りがあったと認めた。ただ、研究の「中心的なメッセージ」は依然として有効だとしている。
ただ、マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らの研究も、重い債務を抱えている国の成長は一段と減速するとの両氏の研究内容を裏付けているようにみえる。研究者らは、債務水準が例外的に高い国の平均成長率は2.2%で、債務水準が低い国の成長率を下回っている、と指摘している。
また、多くのエコノミストや政策当局者らは、ラインハート氏とロゴフ氏の研究内容に込められたメッセージを軽視していない。
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏は、両氏の研究は「大いに有益」だと指摘。ただ、重債務が本当に低成長をもたらすのかについては疑問が残るとし、低成長が債務拡大につながっているケースもあるのではな いかと述べた。
ロイター電などでは「計算ミスがあったのは事実だろうけど論文のGrowth in a Time of Debt(国家債務時代の経済成長)の要旨には問題はない」、マーケットハックの方では「肝心な部分『90%超えでGDP成長が無茶落ちる』がミスってるんだから、ダメじゃん」的な話となっている。見解は全く別のように見えるけど、切り口の違いなだけで、要は「全体的に語っている『政府負債が大きすぎるとGDP成長率が抑え込まれる』ってのは間違ってないっぽい」「でも90%超えでいきなりマイナスになるのは大間違い」ってこと。......この「政府負債」、中身についてはどうなってるのか(国内外どちらからか、ということ)気になるところだけどね。
それと、一部で「Excelのバグのせい」という話も出てるけど、それは間違いで、ラインハート氏らの操作上のミスということなので、念の為。
しかし、何で欧州委員会もIMFも、これまで検証せずに鵜呑みにしてきたんだろう? あれだけ重要な、国レベルでの判断を行う際の材料だというのに......。
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