2012年のクリスマスにVas Alli氏が婚約者Jessica嬢に贈ったのは、テディベアのぬいぐるみ。ごく普通の包みに入っていたそれを目にした彼女は大声を挙げて神への感謝の言葉を繰り返し、止まらぬ涙を流し続けることとなった。テディベアそのものが好きなのも一因だが、これには深いわけがあった。このテディベア、この世で一つだけの、彼女にとっては自分の分身にも等しい一品だったのである。
このテディベア、名前はホワイティというのだが、彼女が幼いころから愛用していた一品だった。しかし歳月を経て鼻は取れ、耳も無くなり、中身もスカスカなゴミ同様の品物となっていた。そこでVas Alli氏はビンテージもののテディベアを販売するオンラインショップを渡り歩き、同じ種類のものを探して調達し、彼女の「たったひとつの」テディベアの鼻、耳、目、詰め物用の「部品」を調達。専用の人形病院に持ち運び、修復させた上で贈った次第。
「状態の良い物を手に入れたのなら、それをそのままプレゼントすれば?」と思う人もいるだろう。けれどもそれでは、彼女にとって、唯一のテディベアにはならない。恐らくは思い返せるような跡があちこちにあるのだろう。それを知っていたからこそ、Vas Alli氏もまた、代替品ではなく、元のものの修復をした。そしてその想いもまた、Jessica嬢には伝わったからこその涙だったのかもしれない。
コメントする