【「内部留保」すべて現預金でストックされているという勘違い】
↑ 「内部留保」はすべて現預金というわけじゃない
地球に厳しいリサイクルというか、定期的に上がってくるのがこのネタ、「内部留保はすべて現預金なのだから、企業はさっさとこれを引き出して従業員に配れ、正規雇用を増やせ」うんぬんという話と、その意見への反論......というか事実の説明。先日付の記事としてこれだけの量を割いて掲載されたということは、またどこぞやで騒いでいる人が(多分「声の大きな人」だろうな)いるのだろう。
「内部留保」という勘定項目そのものは無いが、説明にもある通りこれはイコール「利益剰余金」。「剰余金!? それじゃお金じゃん」と思う人も出てくるだろうけど、さにあらず。「内部留保」=「利益剰余金」は現金・預金以外に、会社の土地や機械や設備などまで合わせた会社の資本。これを「配れ」ということは、備蓄している米以外に、種もみや耕耘機、肥料、さらには田んぼそのものまで売って従業員に配れ、あるいは正規雇用しろという表現に等しい。本末転倒でしかない。
加えて言うなら「内部留保」が厚みを増しているのは【「給料が上がらないのは人件費を減らして利益を上げねばならないから」のカラクリにダウト!?】や【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】にもある通り、企業のリスク回避の動きの一環。住宅に例えれば泥棒が怖いから警備会社と契約したり鍵を何重にもかける、ということ。それだけ(財務の)安全性、健全性は高まる。
過剰な現預金の蓄積を直接指しているのならともかく、「内部留保」を指して、取り崩して雇用に充てろ、給与を増やせという人がいたら、「あなたは来年用の種もみや田畑を売れというのですか?」と首を傾げながら聞き返すといいんじゃないかな?
......しかし会計の上では基本中の基本事項なのに、どうしてこうも定期的にこういった誤認が沸き出てくるんだろう。知識がある人ならすぐに間違いだと分かるはずなのに。止めた気配がないってことは、やっぱり意図的に、「最終的に間違いだと認識されても、最初のイメージが広がればいい、相手を叩けて自分の威光がアップすればいい」という考えでやってるんだろうな。
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