続・僕がツイッターのbot系をRTしないワケ...効率的集客と画像による騙しのテクニック

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先日掲載した【僕がツイッターのbot系をRTしないワケ...面白系引用・盗用botと「ビジネスモデル」】の続編的な話。まあこの辺の話はいたちごっこ的なものがあるし、悪知恵を働く人も後を絶たないわけで、数え上げたらキリはないのだけど、典型的なものが次々と見つかったので、前回の応用編的なもののモデルの紹介、そして類似・関連案件として騙しのテクニック的なものを。

■盗用コンテンツの公式RT多用による集客・応用編

まずはパクリツイート、パクリコンテンツを用いて集客し、広告ツイートの閲覧機会を増やす事例。先のモデルをさらに効率化・醜悪化したものが確認されたので、その仕組みを解説しておく。当事者は複数のアカウントを用意し、それぞれに広告用のツイートを流す。そして人目を引くようなコンテンツを1つずつ別々にツイート。もちろん自分で考えるのではなく、他所からの盗用。関連サービスで多くの人が公式RTしたもの、はてなブックマークなどでチェックが多数に及んだもの、ボケて(bokete)で多くの評価を得たものなど、とにかく実績があり、ツイッターに表示してウケそうなものを選ぶ。

↑ 個々のアカウントで広告のツイート、そして盗用のコンテンツをツイート
↑ 個々のアカウントで広告のツイート、そして盗用のコンテンツをツイートプ


続いてそれぞれのアカウントで、他のアカウントがツイートした盗用コンテンツの面白ツイートを公式RTする。するとそれぞれのアカウントのタイムライン上では、「自アカウントの広告ツイート」「自アカウントの盗用コンテンツによるツイート」以外に「他(の自分管理の)アカウントによる盗用コンテンツでのツイートを公式RTしたツイート」が並ぶ。

↑ それぞれのアカウントで、他の自管理アカウントがツイートした、盗用コンテンツによるツイートを公式RTする
↑ それぞれのアカウントで、他の自管理アカウントがツイートした、盗用コンテンツによるツイートを公式RTする


これでそれぞれのアカウントが、最小限の盗用コンテンツで、それなりに数の揃った「面白コンテンツをたくさんツイートするアカウント」に生まれ変わる。

複数のアカウントを用いて同じ盗用コンテンツを公式RTすることに、何の意味があるのか? これは特定の盗用コンテンツを表示させる機会を出来るだけ多くするため。

↑ 別々の複数のアカウントでタイミングをずらして盗用コンテンツを表示させることで、より多くの人たちを網にかけることができる
↑ 別々の複数のアカウントでタイミングをずらして盗用コンテンツを表示させることで、より多くの人たちを網にかけることができる


盗用したコンテンツはいずれも興味を持たれる可能性が高いが、万人に受けるとは限らない。特定の属性にはウケるが、たまたまウケそうな人がツイートを確認している時に表示させられるとは限らない。そこでタイミングをずらし、多数のアカウントで表示させて機会を増やすことで、同じ盗用コンテンツの量で、興味関心を持ってフォローさせる機会を増やすわけだ。

例えるなら、「ある電車の特定区間に看板を1つ置けば、その区間の電車を使った人はすべて見る可能性がある」「しかしその看板の場所を通過した際、窓越しにその看板を見る人は少数に過ぎない」「その区間内の複数か所に看板を併設することで、見てもらえる可能性は増える」という次第である。現物の看板の場合は枚数分だけ手間暇費用がかかるが、ツイッターの公式RTならば単純なコピーと同じなので、手間はゼロに等しい。

上の図の例なら、左側の人は「面白1」のコンテンツに興味を持ち該当アカウントのAをフォローするかもしれないが、その時にアカウントBやCの公式RTによるツイートを見ていた場合、「面白1」はその時点ではタイムライン上には無いので、ひっかからない。右側の人は「面白3」の内容に興味を持ちアカウントBのフォローをする可能性があるが、その時にアカウントCやAの公式RTが目に留まっていたら、興味を示さずスルーしてしまうだろう。要は手持ちの盗用コンテンツをより多くのタイミングで、より多くの人に観てもらうため、公式RTを使う次第である。

また公式RTの順番を巧みに入れ替えれば、アカウントAとBとCはまったく別物のアカウントのように見せかけることができる。盗用コンテンツを多数用意し、同じ系統のツイートを大目に公式RTすることで、それらしい属性を持たせることも出来てしまう。例えば猫系、一発芸系、びっくり画像系、アドバイス系、などなど。

この事例では広告ツイートを各アカウントが自らツイートする設定となっているが、先の記事のように別途広告ツイートのアカウントを準備し、そこのツイートを公式RTすることで、さらに偽装を巧み化することができる。

「素直に面白いツイートを公式RTすればいいのでは? わざわざ盗用しなくても」と思うだろう。しかしそれでは相手がツイートそのものを取り消してしまうかもしれない。また、ツイート以外の関心を集めそうなコンテンツを使い、より効果的な集客をするためには、すでに実績のあるコンテンツを盗用するのが一番手っ取り早い。

■動画のサムネイル機能を悪用した騙しのテクニック
もう一つは、ツイッターの公式ウェブや各種クライアントサービスなどで実装されている、YouTubeなどの動画URLがツイートされると、その動画のサムネイルをツイート内に表示させる機能を悪用したもの。

動画のURLがツイート内にあると、その動画のサムネイルが表示されることは皆が知っている。

↑ 動画のURLが貼られると、その動画のサムネイルが表示される
↑ 動画のURLが貼られると、その動画のサムネイルが表示される


何度もこのパターンを観ているので、「動画の説明的なテキスト」「動画のURLっぽいURL」「サムネイル」が目に留まると、それらがすべて連動し、一連のコンテンツだと認識してしまう。

今回広まって問題となったのはこの認識を使ってワナをしかけている。この3要素のうち「サムネイル」の部分を別途それらしく見える画像で用意、「動画のURLっぽいURL」を圧縮した上でおおもとのURLが分からないようにして警戒感を薄れさせ、一連のコンテンツであると誤認させるものだった。

↑ 「動画の説明的なテキスト」「動画のURLっぽいURL」「画像」が表示されると、「画像」を動画のサムネイルと誤認してしまう
↑ 「動画の説明的なテキスト」「動画のURLっぽいURL」「画像」が表示されると、「画像」を動画のサムネイルと誤認してしまう


一連のパターンに見慣れていることもあり、ぱっと見、しかもインパクトのあるテキストや画像に注目してしまい、「動画のサムネイルと思わせる画像URL」には気が付かず、「該当動画と誤認させるURL(実はトラップ先)」をクリックしてしまうことになる。

↑ 黄色い部分にのみ注目してしまい、つい動画指定のようなURLをクリックしてしまう
↑ 黄色い部分にのみ注目してしまい、つい動画指定のようなURLをクリックしてしまう


また、実際には動画を観ずに、サムネイルのような画像とテキストのインパクトの強さから、中身の確認もせずに公式RTをしてしまうこともある。これも仕掛けた側の思うつぼでしかない。それだけ多くの人がワナにかかる可能性が増えるからだ。

今件は盗用コンテンツの利用などによる集客と広告ツイートへの誘導とは直接関係はない。だが先日この手口で、動画のURLと思わせるURLをクリックすると、連携アプリの承認をさせ、上記で解説したような、広告ツイートを行うアカウントを強制フォローさせるアプリへ誘導する事例が確認されたので、あえて紹介することにした。

さらにこれの類似事例として、「動画の解説と動画のサムネイルだけを観て、動画の内容そのものを確認せずにテキストの内容を信じ込み、他人に事実として口コミする」ように誘導する手法は、一部ブログでも確認されている。「●×の証拠です」との動画解説の文面と動画URL(これは本物の動画URL)、そしてその解説文面を肯定するようなキャプチャ画像が貼られていると、動画を実際に確かめる人はほとんどいない。画像だけでその文面が事実であると信じ込んでしまう。「だって動画の証拠があるじゃないか」である。

ところがその動画を実際に再生してみると、キャプチャ画像はイメージ的に使われているだけで、中身は単なる主義主張の羅列だったり関係のない映像で、ともかく動画の解説として語られていた内容を裏付けるものでは無かったりする。



ともあれ、この類のワナを仕掛ける側は、手を変え品を変え、善良な人たちを虜にしようとする。今件の事例も全体から見ればほんのごく一部の慎重に過ぎない。注意と用心をするにこしたことは無い。

ちなみに前半部分の「複数アカウントと公式RTの掛け合いによる複数タイムライン形成で投網的手法」について面白いネタを。この仕組みを用いた場合、当然公式RTのほとんどは、同一人物(グループ)の運用によるものとなる。よって公式RTされているアカウントを順にたどると、芋づる式に関連するアカウントが抽出できることになる。

一部はダミー的に第三者のアカウントの公式RTをしている場合もあるが、各アカウントのツイートをさかのぼれば白か黒かはすぐに判断できる。

あとはどうすべきか......各個の判断にお任せしたい。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年3月 9日 19:08に書いた記事です。

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