世論調査と「若者は固定電話持ってないから反映されないのでは?」との懸念
コミュニケーション系メディアの平均行為率(平日、2013年)
日本に限った話ではないけれど、固定電話の利用者が若年層を中心に減っていき、携帯電話しかないという世帯も増えている。それに合わせ、テレビや新聞が行う調査において、固定電話を持たない人が多い若年層の意見は取り入れられにくいのでは、という懸念。そりゃ確かに気持ちは分かるし、そういう意見は多い。
統計調査の上でこの類の問題は常に生じる話。偏ったデータは(それを意図したものならともかく)世間一般の実情を知りたい場合は、何の意味ももたなくなってしまう。そのため、一般的には国勢調査などを基にしたウェイトバック方式が行われている。例えば国勢調査で20代・30代・40代・50代の人数が全部同率だとした場合、電話調査で20代10人・30代20人・40代40人・50代80人が回答してくれたとしたら、そのままでは20代の意見がほとんど全体に与える影響がなくなってしまうので、20代の意見を8倍・30代を4倍・40代を2倍して、各世代の回答数がそれぞれ同じようにし、世代そのものの人数比率に合わせるというもの。これなら実状に近い値が出る(本当はもっと複雑だけどね。どの属性までウェイトバックを行うとかさ)。
他にも電話口に出た時、最初に世帯構成上誰を呼ぶかとか、電話調査の場合はどのような電話番号選択方式を使うとか、対象電話は固定電話か携帯電話かとかにいたるまで、極力実状に合わせたスタイルでの調査が行われている......
......はずなんだけどね。新聞やテレビに出てくる調査の場合、一次ソースがあればそれを当たって、そこで調査方式を調べればいいんだけど、独自調査の類は調査方式が分からない場合も多い(**新聞独自調査によると云々ってやつね)。スペースの問題もあるんだろうけど、調査方法はちゃんと細かい部分まで公示しないと、調査内容の正確性が疑われかねないのよね。今件のように。んなこと知ったこっちゃねえ、結果をアピールできればええんや、って考えならそれはそれでいいんだけど。
ちなみに当方がよく使っている海外の調査機関、例えばPew Researchやギャラップは、ちょっとした調査でもしっかりとその辺の方法は明記している(Methodのコーナー)し、調査方法も極力社会実状に合うよう工夫をしている。日本の一般報道における独自調査では、特にこの辺の「だまってりゃわかんねーだろ」的な、本当はとても大切な部分をないがしろにしているような気がしてならない。
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