【【食の安全】話題のコミック全文掲載!! 福島産という名前だけで避けていませんか? 山本おさむ『そばもん ニッポン蕎麦行脚』】
↑ 期間限定無料公開中のそばもん134話
先日から問題視されている、小学館のビッグコミックスピリッツ誌で不定期連載中の「美味しんぼ」の話......と連動している感はあるけど。ほぼ同時のタイミングで、同じ小学館のビッグコミック誌で連載中の、そば打ち名人の放浪記的な漫画「そばもん」でも、会津編ということで、福島関連の話がテーマとして取り上げられている。
「美味しんぼ」が悪質宗教団体の機関誌的な内容に終始している一方、「そばもん」の会津編ではしっかりとしたデータの積み重ねと実状の元に描かれており、納得のいく、そして説得力のある内容となっている(元々「そばもん」はそういう面の強い作品だったからね、当然の話でもある)。
で、その「そばもん」の会津編の第134話が、5月24日付で6月9日までの期間限定としてPDFで全編公開中(一部カットはネットでも出回っていたので「ああ、あれか」と思う人も多いはず)。内容そのものも合わせ、評価に値する試みではある。元々「そば」ってのは中堅層以降、特に定年退職を迎えた男性の興味関心が集まるテーマで、なぜか定年退職後の男性がそばを打ちたがる傾向ってのがあるんだよね、これが。そういう観点でも、今後さらに注目を集める作品になるんだろうな。
で、疑問なんだけど。
なぜこういった作品を抽出して編集し、送り出せる体制を有する編集部のある小学館が、編集部局は別とはいえ、今回の「美味しんぼ」のような体たらくを許容してしまったんだろう。「美味しんぼ」問題の鎮火のために今回「そばもん」も公開した、という勘繰りもできなくはないけど。
......それを抜きにしても、今件の「そばもん」の認知率が高まれば高まるほど、「それではなぜ『美味しんぼ』があんな形で出版されることが許されたのか、許される体制があったのか」という疑問が深まるばかりとなる気がする。原作者自身の問題は六万歩ほど譲るにしても(原作者の影響力の問題があるとはいえ、表現の自由云々ってのものあるからね。同人誌でやれや、ということになるんだろう)、その内容にOKを出すどころか賛同すらしたスピリッツ編集部と、その上層部に関する不信は、さらに高まる気がするんだけどね。
個人的感想の一部として、商業面でのみの観点なら。「インパクトがあるから」ってのも理解はできる(納得はできない)。今件「そばもん」を読めば分かるんだけど、読みごたえはあるけど、瞬間的なインパクトに欠けるのよね。何というのかな、噛めば噛むほど美味しさが堪能できるスルメイカ的なものじゃなく、食べた瞬間にどーんと刺激が押し寄せるタバスコ的なものがない。見方を変えると、実力はあるんだけど、猫ダマシ的な瞬間訴求力に欠ける。
そのような表現を「美味しんぼ」では嫌ったってのもあるんだろうね。さらに見方を変えれば、「美味しんぼ」の実力はすでに失せて、一発芸的なことをしなきゃ注目すらされないってことなんだろうけどさ。
そして個人的には、さらにはネットによる情報蓄積・検索が重要視される昨今においては、「そばもん」のような作品こそ、注視されるべきだし、支えられる、文化としてふさわしいものだと思う。少なくとも今の時点では(検索エンジンそのものが情報の蓄積と継続を忌み嫌う傾向に流れてるのが気になるけど)。
(ソース:【ツイッター】)
おまけ。
丁寧に測定する。汚染メカニズムを知る。リスクは限りなくゼロに近いことを理解する。しかし「絶対」の壁は「科学」では越えられない。最後は信頼と敬意、別の言葉でいえば「同じ社会の一員」という感覚だ。そばもんはこのプロセスを示してくれている。 http://t.co/jzkrmzwAqU
— 五十嵐泰正 (@yas_igarashi) 2014, 5月 25
不適切なデータを使う。非論理的な仕組みを周知させる。ゼロに限りなく近いリスクを極大化させる。そして「絶対」の壁は「科学」では越えられない事を悪用し、煽動と選民意識で揺さぶる。最後は「私達は騙されている」別の言葉なら「悪徳新興宗教」という感覚だ。「美味しんぼ」はその実態を表している
— 不破雷蔵(打ち捨てられた懐中時計) (@Fuwarin) 2014, 5月 25
※「ビックコミック」→「ビッグコミック」修正しました
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