全消し対応の訂正リリースが出たが、電子書籍ストアで最も重要な信頼感を全力で切り捨てた最初の対応の時点で、既にサービスとして手遅れ。
→ヤマダイーブックの新サービスへの移行のお知らせに伴う掲載内容不備に関するお詫びと今後の対応について http://t.co/yrf5c1V9g3
— Yasuaki Madarame (@madarame) 2014, 5月 29
先日も某楽天の電子書籍サービスの終了で結構モメた話だけど、現在の電子書籍サービスの大部分が、実質的に「デジタル書籍の販売・提供」では無く「デジタル書籍の半永続的貸与権」であることから、この「半永続的」が突然「もうすぐジ・エンド」になってしまうリスクがあるということを、改めて認識させてくれた事例。
簡単にまとめると、ヤマダ電機がやってた電子書籍サービス「ヤマダイーブック」を7月末に閉鎖、購読書籍は読めなくなるし、その後立ち上げる予定の新サービスへの引き継ぎもなされず、ポイントの返金も行われないよという発表がされて、「なんでやねん」という総ツッコミが起きたという話。で、慌てて(!?)それらの問題点について変更がなされた次第。
どたばたぶりを見るに、ヤマダ電機側が電子書籍の運用を相当舐めてた感は否めない。
「買った」つもりの電子書籍が販売者の都合で読めなくなる可能性があるなら、電子書籍の価格は「貸本並み」にしてもらわないと、割が合わないのではないか
— 菊池誠 (@kikumaco) 2014, 5月 29
この指摘もまさにその通り。データのダウンロード、提供としてしまうと、二次三次の再配布が成されて(要は勝手にコピーされて)売上が減るし権利が侵害されるからという事で、現状の電子書籍はほとんどがこの「貸本」スタイルになってるわけだ。PDFが普及し始めた時から、この「勝手にコピー」ってのは、漫画や書籍の電子書籍化における最大の問題点だったからね。でも今件のように、サービスの突然終了などのような事態が頻発すると、利用者の便宜とか不満とかはどうなるのかな、電子書籍そのものへの不信も高まるよね、ということになってしまうのだな。
幸い今件においてはポイント返済と新サービスへの移行が行われるようになったわけで、それは救われるけど、不信感は募るよね。そういう意味では(ダウンロード販売も行っている)Jコミは、一歩も二歩も先に進んでいるのかもしれない。
また、電子書籍ってのは少々オーバーかもしれないけど、その運営はイコールインフラの運営という覚悟が必要だと思うんだな。商売っ気だけでやりくりして、ちょっとアレだからやーめた、というのでは、利用する側にとってはたまったものではない。地味で目立たないけど、人々の生活を支える重要な役割。インフラが担う責務ってのは、得てしてそういうものなんだけどね。今件でも例えば「電気を来月から直流に変えます。契約はいったん全解除になります。使っている電気機器は使えなくなりますが、知ったこっちゃあねえっす」とか言われたら、どうするんだろう、というのと同じと考えれば、事の重大さは分かるよね。
コメントする