少子化と婚外子と女性の自立と先進国病と

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先日から以前のデータを整理再調整と更新も兼ねて、【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる(2014年)(最新) 】【アメリカのいわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる(2014年)(最新) 】、そして【いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる(2014年)(最新)】(今日の朝8時半更新予定)などを書き記していて、先進国共通の問題点(先進国病)の一つ、少子化に関する原因やその解消方法を頭の中でもやもやとこねくり回していたい所、ちょうどこんな話が持ち上がっていて、大体ツボをついているなぁ、とタイミング的なその偶然性にやや驚きを覚えたので、覚え書きも兼ねて。まぁよく考えてみれば、例の都議会での話も、この方面に少なからず関連があるんだけど。

で、指摘の通り、経済的・社会文化的に(特に西欧的な文化面で)成熟してくると、一人あたりの子供育成コストが跳ね上がる。そして子供の尊厳も重視されるので、ないがしろにしたり低コストの労働力扱いされることは許されなくなる。そして「結婚」という社会様式は子供を守り地域社会を形成するのに欠かせないもの。結婚は男女間、そしてその間に生まれる子供ともリンクした契約みたいなもの。その契約が軽視されると、それは必然的に子供や働き手で無い方の親(得てして母親)の社会的基盤が損なわれかねなくなるからね。であるため(取捨選択して「進化」した形態だし)、それを維持したままで社会が成熟すると、必然的に少子化が進むことになる。

一方で社会的成熟からその「縛り」が色々と増えてきつくなり、「結婚」そのものを避ける動きも出てくる。あるいは結婚しても、縛りを増やす子供を創らない動きも増えてくる。これが少子化。んで、その社会的様式、概念のハードルを低くし、婚外子でも子供はあり、その場合、社会全体でカバーしていこうってのが、西洋社会での動き。キリスト教的観念も多分に影響してるんじゃないかな。実際、先のアメリカの事例でも、アジア・太平洋諸国の人種においては、婚外子出生率は異様に低いんだよね。

↑ アメリカの主要人種別「婚外子出生率」(再録)
↑ アメリカの主要人種別「婚外子出生率」(再録)


ツイート内で指摘のある「女性の自立と少子化対策って物の見事にコンフリクトする案件」ってのはまさにその通り。欧米では社会全体で婚外子を支えるシステムが(日本と比べて)構築されているからこそ、女性の社会進出は容易であるし、男女の家事時間のひずみも少ないものとなっている。

日本ではどうすべきか。宗教的・文化的観念をかなぐり捨てて西欧風にするのか。具体的には「社会負担の増加(それこそ高齢者向け福祉のリソースを削ってでも社会全体で婚外子を支える仕組みを新規構築・追加する)」「法的整備をはじめとした社会的ルールの面での容認」など、婚外子を認めて増加をもくろみ、それを人口増加の一要素と成していくのか。あるいは従来の社会観を尊重し、婚外子比率は現状維持のまま、家族世帯内での出産・育児の安寧化と促進を図るのか(若年層の収益の安定的な増加、婚姻世帯の社会的サポートの積み増し)。

いずれにしても社会全体のリソースの大胆な配分の変更が欠かせない。「二分法の罠」の話ではないけれど、どらちか一方で無いとダメということではなく、中庸策もあるはずだし、第三の手立てもあるかもしれない。ただ、美味しいところだけつまみ食いってのは不可能であることは心しておくべきだと思う。女性の社会的進出もどんどん促進し、婚外子もどかすか認めて社会全体で支える仕組みを分厚く用意し、高齢者へのリソースを厚く配分し、子供への配慮もガッツリ。リソース(ぶっちゃけ「お金」)が山ほどあればそれらすべてが可能なんだけどね。

最初のツイートで指摘されているように、全部を揃えるわけにはいかんのですよ。無い袖は振れないのよね。

この辺りはブレストが必要だなあと思う。無論この類のは「専門家」の方々が山ほどやっているんだろうけどさ。

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このページは、不破雷蔵が2014年6月30日 07:26に書いた記事です。

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