日常生活の中で繰り広げられる、あまりにもありきたり過ぎて記憶に残る事すらない、ごく普通の事象も、視点と発想を変えて、撮り方を工夫することで、多くの人に感銘を与える芸術作品となる一例。説明にも「アイスクリームが溶けるようすを低速度撮影(コマ落とし)で撮影したもの」とある通り、低速度撮影でアイスクリームが溶けていく様子を描いたもの。ただそれだけ。
...なんだけど。昨今のアイスクリームは色々とデコレーションが施されているし、中の味わい・色合いも多種多様なものだから、溶けていく際の情景が不思議な色合いを見せ、非常に興味深いビジュアルを創り出している。容器の中に絵具を垂らした時に生み出される、自然が織りなす神秘的な造形と似たような世界が広がっていく。
アイスクリームの種類も多種多様。それらが皆、別々の形をくずし、色が混じり合い、どろどろに溶けていく。後半では逆回しに再生することで、神秘深さを一層積み増していくのが素晴らしい。
よくよく考えてみると撮影スタジオの確保はともかく、アイスは安価で手に入るし、昨今のデジカメ・ビデオカメラではこの類の撮影がさくっと出来る機能が実装されているので、それこそ個人ベースでもこの類の映像を創り出すことは可能(無論、カメラアングルの巧みさや編集の上手さ、BGMの妙はまた別の話)。要は発想の転換とそれを体現化する実行力があるか否か。その点でもこの作品は十分以上に評価できる。この考え方は参考にしたいナ、うん。
(ソース:【The Presurfer】)
コメントする