5分でも、10万円の仕事は10万円分の価値がある

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これがまだ「1億円出す」とか「重役の座を用意する」って話になると半ば冗談っぽく語ったようなニュアンスもあるので判断は分かれるところなんだけど、10万円ということ、元同僚が転職先の企業から(本来ならこういう関係では連絡をしにくいにも関わらず)わざわざ連絡してきたってことは、相当困っていたようすで、本当に10万円の対価がある内容だと関係者が認識していたはず。で、その期待に応えて対応したら......「5分の仕事」と支払いを拒否。元同僚はその仕事の価値を認識しているからこそ、食事をおごってくれたけど、会社そのものの姿勢がこうでは、もう手は出せないとの判断。

具体的にどのような作業なのかまでは書かれてないけど、たとえ実作業が5分+1分だとしても、そこに足を運ぶリソース自身も大したものではなかったとしても、その結果を導き出して対応手段を講じ、状況を回復させるための技術や経験ってのは、その5分だけでは計算できないのよね。その5分+1分の作業の結果を出すために、どれほどの蓄積をしてきたことになるのか。

【値切りをして良い相手としてはいけない相手】でも触れているけど、技術系の作業は特に、その実作業それのみだけではなく、そこに至るまでの技術そのもの、成し遂げた結果に対する評価・対価の支払いをしなきゃいけない。その判断が出来なければ、技術を使う人たちは誰もついてこない。

この社長が本当に「5分しかかかってないから5分だけの対価しか支払うに値しない」と考えていたのか、それとも「あっけなく終わったから10万円も払うのはもったいない。5分云々と難癖つけて支払いをケチってしまえ」と悪知恵(自分自身は多分「素晴らしいアイディア」と思ったんだろうけど)が働いたのかは分からないけど、これで一つの、あるいはそこからつながる複数の保険、「つて」を切り捨てたことになる。その結果、将来10万円どころか1ケタも2ケタも大きな損失を被るかもしれない。

......まぁ、でもそれは自業自得。見た目だけで判断をされるってのは、技術周りに携わる人は、物凄く不愉快に思う、軽んじられていると思うのよね。物書きだって「文章量がこれだけなんだからさっと出来るだろう?」と言われたら、大抵の人は良くは思わない。「単なるタイピングと勘違いしてないか?」ってね(そのタイピングだって間違いのチェックとか考えたら、単純に文字打ち込み以上の時間と労力はかかるんだけどさ)。

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このページは、不破雷蔵が2014年8月14日 11:24に書いた記事です。

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