東スポが「まとめサイト」を糾弾する時代

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かつては色々な意味で、多分にエンタメ的な感じで誤報や虚報的な話も公知してきた、それ系の話の代名詞としても有名な東スポだけど、今や事実がそれを追い越してしまい、一般紙よりもむしろ東スポの方が真面目なことを語っている事例も多々出て来たという、相対性理論もかくや的な状況を表す一つの事例として。

一時期大きな話題となった佐世保での同級生による殺傷事件に関して生じた様々な情報の内容について、その問題点を短い文章ながらも的確に語っており、非常に読み応えのある文面となっている。

特に後半部分の2段落、次の部分は注目に値する。

ある年配男性は「被害者も加害者も知らない」と言いつつ、いろんな情報を話した。聞けば「ネットで見たんだ。ネットに全部書いてある」ときっぱり。事件の情報は「まとめサイト」で読むことができる。ネット書き込みのまとめなので、真偽不明の情報も多い。


ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「地方ではネットカフェが年配世代の集会所になっていることもある。事件を検索すればまとめサイトが上位に出ます。また、スマートフォンの普及により、年配の方でもネット情報に接しやすくなっている。ネットに免疫がないだけに、信じやすい。ネットに本当のことが書いてあるとは限らないと繰り返し言うしかない」と指摘する。



今日付けの先行記事「陰謀論」周りでも触れたけど、ネットは取得できる情報の量を増やしてくれるけど、それがすべて正しいとは限らない。比率的には同じでも、ジャンク・ノイズ情報の量も増え、そちらの方が目に留まりやすいから、ついそちらに目を通してしまう。情報の見分け方に慣れていない中堅層以降が、つい乗せられてしまうのも理解できる。

それともう一つ「まとめサイト」。さりげに「事件を検索すればまとめサイトが上位に出ます」とあるけど、これが大きな問題となっているのは言うまでもない。検索サイド、特にグーグルが勘違いしているのは、検索者が何を求めているのかと、それに対してどのような情報を提供すべきかという観点において、相関関係と因果関係をごっちゃにしていること。

正しい情報、求められている情報には人気が集まるので書込みも増えるだろうし、短期的にアクセスも増えるだろう。しかし書き込みが増える・短期的にアクセスが集まる情報が、正しい、求められている情報とは限らない。「正しい情報」→「書込みが増える情報」には違いないけど、「正しい情報」←「書込みが増える情報」ではない。にも関わらず、「正しい情報、提唱すべき情報」のフラグとして、書き込みが増える・短期的にアクセスが集まる情報という要素を重要視してしまったため、こんなことが起きる事態となっている。

かつての検索エンジンではこのあたりの構造をある程度認識していたんだけど、今では半ば、単なる人気投票的なものとなってしまっているので、こんな弊害が出てしまっている。今からでも遅くない(......かなあ?)ので手を打たないと、状況はもっと悪化すると思うんだけどな。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年8月10日 08:07に書いた記事です。

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