数日前にジブリが潰れる潰れないとかいうブログがあったので調べてみた。結論から言うと、潰れるのとは程遠い。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
......と、「病気の子供はいなかったんだ」的に良かったね話で済ませたらマズイよな、的なことをまとめておく。先日スタジオジブリが赤出まくりで財務がかなりアレなのでああなったとの話が一部サイトでまとめられ、それをベースにあちこちで話が広まったって事象があった。そこで提示されていた事業試算表は、いかにもありがちな話ではあったけど、一次ソースが不明。で、こういう、しっかりとした検証をされた方が出てきた。
スタジオジブリの純利益(過去9年分しか遡れなかった)を見ると、1)大型タイトルはやはり税引き後で数十億の利益になってる、2)大型タイトルない年もパッケージや版権と思われる利益で黒字、ということが言えます。 pic.twitter.com/9LjIE18uXP
— massina (@massina) 2014, 8月 13
承前)ゲド戦記とコクリコ出した翌年の利益の落ち込みが大きいのは、1)宮﨑駿監督作品の制作費が高水準で出ている、2)パッケージ売上・版権売上が弱い、と見えます。ゲド戦記の年とその前年の利益水準が高いのはおそらく千と千尋、ハウルのパッケージや版権の売上があるからと推測。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
したがって、「後継者がいないので版権管理でメシ食います」は経営判断としては真っ当というか、制作費を落として期間費用どのくらい落ちるかわからないけど、利益としては数億円~10億円くらいは出るんだろうなという印象を持ちますね。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
バランスシート見ても、利益剰余金きっちり積み上げて有利子負債と思われる固定負債を減らしていってるのが読み取れます。 pic.twitter.com/gA6bkUCLKM
— massina (@massina) 2014, 8月 13
ポニョん時にBS膨らんでるのは、なんですかねえ。証券アナリストの試験問題とかで出してみたい感じですがw
— massina (@massina) 2014, 8月 13
というわけで決算公告からグラフ2つ作るテンプレが出来たので後は興味の赴くままに調べることができようというものだ。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
@michsuzu なので、版権で引っ張って、有利子負債など返済していって、人気が次第になくなる中でジブリ美術館を畳んで、という縮小均衡の方向を選んだのかなあ、という印象を持ちますね、報道とこれらの数字を眺めていると。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
@Ito1973 ポニョの配給収入の売掛金と制作外注先への未払金かなあ、というふうに初見では思いました。とすると前年低すぎる感じですけどね。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
なお、当期利益と利益剰余金の増減がぴったりで、配当してないですね、ジブリ。資本金1000万円のままだし。パヤオさんのポリシーだろうなあと思ったりなどして。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
んで、それらを読んだ他の方の感想もなるほど感。うん、しっかりとしたデータの物での分析だと、色々と健全な方向への話が広がる。
こうして見ると、ジブリの今回の映画制作体制抜本見直しへの見方、ジブリの経営力への見方がガラッと変わるなあ。
— Anonymous Investor (@anonymousinvest) 2014, 8月 13
巨匠の大作でガツンと稼ぎ、作品が乏しい時も版権収入など過去の資産で上手く回し、有利子負債を粛々と圧縮し株主資本のリスクバッファを厚くして、事業リスクの高さに見合った健全なバランスシートにして行った。巨匠が抜ける準備を着々と行って今回の決定に至った印象。
— Anonymous Investor (@anonymousinvest) 2014, 8月 13
巨匠が抜けた後も無茶な映画制作をして経営が傾く前に先手を打って今回の映画制作部隊の抜本整理を行った印象で、正しい経営判断に見える。
— Anonymous Investor (@anonymousinvest) 2014, 8月 13
経営判断、というよりはさらにその先の経営戦略的なもののレベルなのかもしれない。
今件にはちょいと補足的なツイートが後程成されている。それも合わせて。
二馬力はパヤオさんの個人事業所&版権管理会社の性格が強いと思うのだけど、9月決算なので7月封切りの映画の収入をどのタイミングで収益認識しているかわかりません。そもそも配給収入に対して一定シェアを取るのか一定額をスタジオジブリから受け取るのか、ミニマムギャランティ含む複合なのか(続
— massina (@massina) 2014, 8月 13
まあ普通に組合方式で一定シェア取ってるとすると、普通は劇場からの決済を以って認識なんですかね。7月封切りなら9月決算だと年度またいじゃうからよくわからんよなあと思うものの、とりあえず利益推移はこんな感じ。 pic.twitter.com/pPPEo3AN5O
— massina (@massina) 2014, 8月 13
で、年度をまたいで認識する前提でジブリと決算期合わせてグラフを重ねると、トレンドは似ているので、やはりそうかなと。組合方式としたらジブリの出資比率の方が高いんじゃないだろうかという印象を持ちますね。 pic.twitter.com/iLpAKomtaa
— massina (@massina) 2014, 8月 13
ひとんちの資産を云々してるみたいで少し気が引けますが、BSはこんなところ。ほぼキャッシュと不動産ですかね。 pic.twitter.com/PF4Cwl8ogL
— massina (@massina) 2014, 8月 13
「王様の仕立て屋」でもちょうどリーマンショックの時にハリウッドの映画作成周りを1巻丸ごとかけて取り上げていたけど、映画ってのは当たれば超絶売上、外れたら目も当てられない...ってことで、語られている通り「バクチ」に近いところがある。有名どころを集めて優秀な監督が指揮しても、それはバクチの確率をちょいとあげる程度のものでしかない。宝くじの購入枚数を10枚から11枚に増やすってところ? ジブリでも10枚から20枚位の領域なのかもしれない。
その上で、自前の資産(色々な意味で)をフルに活用し、ゴーイングコンサーンの原則を維持しつつ、がっつりと作品提供をこなしていくあたりは、あるいはディズニー周りと考えが似ているような気もしてきた。
ちなみに今件は、
以上、官報検索サービスがめっちゃ使える、という話でした。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
官報検索サービス月2160円なんですけど、NHK受信料より全然お得感ありますね。
— massina (@massina) 2014, 8月 13
という話。厳密には
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