87歳の男性の投稿「これが秘密保護法です」?私達は敗戦後まで、戦艦大和の存在を知らなかった。多くの戦死者を出したガダルカナル島の名も撤退後に公表された。それどころか、ゼロ戦が新聞に載ったのは敗戦間際。それまでは名すら知らされなかった。 pic.twitter.com/w6OSLAVtM2
— 盛田隆二 / Ryuji Morita (@product1954) 2014, 8月 12
以前から言っているけど、誰もがすべての情報を知る必要なんてない。知ったとしても「それを漏らしてはいけない」とすれば、「漏らしてはいけない」ということが心の苦しみにつながるわけだから。その苦しみを知らない者ほど「知る権利」を主張する。「知らなくていい権利」もあるはずなのに。>RT
— sis_sis (@sis_sis) 2014, 8月 12
「集団的自衛権」ですら消費ネタとしては鮮度が落ちたようでほとんど扱われなくなった昨今だけど、本日の終戦記念日に合わせて、ちらほらとトレンドワード的な形で持ち上がってきた。それと共に出てきたのが「秘密保護法」の話。その文字づらから連想しそうな話を引っ張ってきて、恐怖を煽る仕組みは変わらないのね、恐らくは無意識レベルでやってるんじゃないかな、っていう切り口に対するツッコミ。情報周りの扱われ方とも合わせ、興味深い、そして以前から繰り返し語られている話ではある。
...というか引用元の新聞の「読者投稿」。よーく読み直してみると論旨が無茶苦茶だろ、これ。どこが「秘密保護法」なんだよ(笑)。全然違うだろ。
王様の耳がロバの耳であることを知った床屋は、その秘密を誰かに言いたくて、我慢できなくなって、井戸であるとか、葦に向かって「王様の耳はロバの耳」と叫んでしまうわけだよ。秘密保護法もそれと一緒。人は知ったことを誰かに打ち明けたがる。ならば開示しないことの方が幸せになることもある。
— sis_sis (@sis_sis) 2014, 8月 12
てかさ、企業とのNDA(秘密保持契約)の重さを知っていたら、それよりも重いであろう国家情報なんて知りたくもなくなるけどな。その重さをわからない、話してはいけないことを知らない、秘密保持が重要な仕事をしたことがない人たちが「情報はすべて開示されるべき」なんて言うんだよ。
— sis_sis (@sis_sis) 2014, 8月 12
まあ、何から何まで全部開示しちまって、「情報の重要性をわからなくする」という方法もあるけどな。隠すべき情報は重要度をレイティングされるから、その格付けによって重要性がわかってしまう。どうでもいい情報と同じように扱えば「重要度がわからなくなる」というやつな。
— sis_sis (@sis_sis) 2014, 8月 12
戦艦大和だって、零戦だって、もしその存在を知っていたとしても、「存在していること自体、誰にも話してはいけない」だったとしたなら、心に重く圧し掛かるよ。その圧し掛かった重さを知らないから気楽にいられる。知らない方が幸せなんてことは他にいくらでもあるでしょう。
— sis_sis (@sis_sis) 2014, 8月 12
昨今では昔と比べると情報開示の度合いは強くなっているし、情報伝達の手法は増えているし、流れる情報量そのものも桁違いに増えている。それこそワールドワイドに。ちょっと数十年前までは、数百キロどころか数千キロも離れた海外の最新情報が映像で、それこそリアルタイムで山ほど入ってくるなんてことは、夢にも思わなかっただろう(テレビはあるけど、ごく一部の情報しか入らない)。
一方で、「欲しい情報は公的にされているのに気が付かない(ので「隠ぺいされている」と騒ぐ)」「公開情報を都合の良いように解釈、隠ぺい、印象操作をして、間違った情報伝達を行う・行われる」なんてことも増えている。送り手側も受け手側も、流通情報量の多さ・深さに処理能力が追いついていない感はある。
情報とは何なのか。そのあたりから考え直した方がいいんだろうな。特に「秘密保護法」で騒いでいる人たちは......いや、騒いでいる人たちの少なからずは、騒ぐことこそが目的であって、情報の本質、法律の実情なんてのはあまり関係がないのかもしれない。
ちなみに。零戦やら大和やらガダルカナルのことを知らなかったと大本の引用文では語られているけど、当方の知る限りではミッドウェー周りの話はともかくとして、1943年から1944年あたりになると、情報統制の類はさほど上手くいってなかったとの話もある。マリアナ沖海戦で日本が敗北し、いわゆる「絶対国防圏」が破られたあたりでようやく多くの人が、「この戦争、負けるんじゃねーのか?」と認識し始めるってのもあるけどね。
それとて個々の人が住む地域や立場によって千差万別。そして当時と今の、情報伝達に関する状況は大いに異なるって点を忘れちゃいけないね。
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