紙媒体の漫画などは初動ですべてが決まるという話について

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インターネットによるコミュニケーションと情報の蓄積が盛んになってきたからなのか、業界内での動向・傾向が顕著化したからなのかは不明だけど(恐らく実態はその双方なんだろう)、昨今こんな話をよく見聞きするようになった。いわく、連載のある漫画の単行本は、その第一巻の売れ行き次第で連載継続などが決まるというもの。つまり連載時のアンケートなどの反応より、単行本のセールスで連載の運命が決まるという話。

見方を変えると出版社側にとって連載中の人気云々よりも、単行本での人気の方が、ビジネス的にウエイトが高いと思っている、そういう実態になっているということになる。雑誌掲載はあくまでもアピール、公知のためのもので、ビジネス云々、さらには連載を続ける価値があるか否かは、単行本の売れ行き次第。...昔から多分にその傾向はあったけど(漫画家サイドから見ても、ね)、この傾向・ウエイトがさらに高まっている雰囲気。

さらには連載継続中の単行本についても、その冊数に関して


という話もある。......うーん、何だか、出版側に余裕が無いような。


という指摘があるのも当然の話。以前も取り上げたかもしれないけど「何でアマゾンで買うと売上カウントや連載継続の考察に配慮されないの?」とかいう疑問はあって当然だし、その「何で」を突き詰めると、本周りの流通が昔のスタイルのままであまり変化が無く、現在の実情とのずれが大きくなってきたからかもしれない。

だからこそ余裕が無くなり、只でさえウェブ関連で厳しいところがさらにタイトな状況になったので、「初速がすべて」的な環境に追いやられている、さらには「公知媒体的な紙媒体の雑誌」を創る余力すら持てなくなったので、低リソースで展開できる&単行本化へのステップもより厳密化できる(出版社にとってはリスクを減らせる)デジタル版の漫画などの展開も進んでいる、と考えれば、色々と話はつながるのよね。

漫画という媒体は口コミで広がることが多いタイプのエンタメ分野なんで、伊藤センセの指摘にある通り、口コミで広がる可能性のあるラインを切り捨てるのは、まさに業界の自虐でしかない。その辺りを理解した上で、あるいは理解すらせずに、今の施策を続けるってのは、ある意味優秀な中途採用社員ばかりを募集して、新人を育てようとしないタイプの企業の方向性と同じなんだろうな。

その意味でも今後、さらにJコミ......じゃなくて絶版マンガ図書館の意義は大きなものとなるのかもしれない。あとは「昔同人、今キンドル」の発想。これについては後日ちょいとまとめる予定。

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このページは、不破雷蔵が2014年8月20日 07:07に書いた記事です。

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