「吉田調書」の公開理由は「発言が独り歩きする」の懸念が顕著化した結果

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【吉田調書を公開 「9月のできるだけ早いタイミング」菅長官】

 菅氏は「記録の一部を取り上げた記事が掲載され、このまま非公開とすることは、かえって本人の意思に反する」と述べた。

吉田氏は生前に提出した上申書で「記憶の薄れ、混同により事実を誤認している部分もあると思う。全てが事実であったかのように独り歩きしないか危惧する」と非公開を求め、政府も公開しない方針だった。


先日の解説記事にもある通り、吉田調書に関してはすでに朝日新聞と産経新聞が独自に入手したとし、先日NHKもそれらしい語りで内容の詳細を伝えるに及び、少なくとも3社が入手していることになった。マスターが非公開のままそれぞれがマスターを所有しているとして好き勝手に伝えられると、現状のように中身が色々な形で、解釈で、「書かれている」として伝えられ、結局情報が混乱を極め、吉田氏本人がもっとも懸念して公開しないようにしてほしいとした最大の理由である「中身の独り歩き」がますます顕著化してしまうのは明らかなことから、今回公開するに至ったと説明している。

まあ結果論ではあるけど、各社が独自入手して(元々非公開の公式文章が漏えいした件については、関係者も含めて十分な検証と精査とそれなりの対応が必要なはず。ベネッセ問題と同様に)、その内容を伝える報道に多分の齟齬が生じたのが公開を後押ししたことになる。

繰り返しになるけど、本物のマスターが公開される前に、「入手した」とする各方面は手元の「吉田調書」の公開を強くお薦めする。情報の整合性は非常にセンシティブなもの。仮に、内容の異なるマスターを手にし、その結果本物と異なる内容を報道していたとしても、(それなりに問題ではあるけど)まだ許容される面もあるかもしれないからね。もちろん本物と同じマスターを入手しており、その内容に従った報道をしていたのなら、何の問題も無い。

ただ......マスターと異なる内容を意図的に報道していたら、色々な意味で、アウトになる。そのような状況に陥っている社があったとしたら、手元の調書を公開するか否かでも、判断に窮しているだろうな。

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このページは、不破雷蔵が2014年8月26日 07:14に書いた記事です。

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