某ネットニュースサイトの人材募集欄に「企画、取材、執筆、編集、校正まで記事制作工程全般をお任せできる方」などとあった。そういうのを1人に全部任せるとクオリティ的に非常によろしくないことになるので、それぞれに名前がついて分かれてるんじゃないですか、と老婆心ながらに思った。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2014, 8月 28
昨今流行の、そして日本では特に半ば意図的に意味合いをたがえて、問題のある所業を正当化しようとする動きが見える、ネット界隈の新スタイルのうち、特によく使われるキュレーションとバイラルメディア。その関係でいくつかの話があったのでちょいと覚え書き的に。上のは同人誌と同じやんという感はあるし、少し前にアメリカでテレビ関係者や報道カメラマンがリストラを受けて独立する動きが強まった際にあった、そして問題視された話。自発的に行うのなら個人の問題となるけど、それを企業側が求めるってのは本末転倒ではないかというもの。例えるなら出版社や編集会社が「同人誌みたいなことが独りで出来る人募集」とするようなもの。出版社の意味が無い。あるいはオールマイティな技術を求め、どの部署でもすぐに対応できるようにとの意味なのかもしれないけど。そんな人材、滅多にいない。
「企画、取材、執筆、編集、校正まで記事制作工程全般」を1人に任せようとするなど、記事制作コストを削る方向に極限まで向かってしまったのが、お手軽セレクションメディアであり、ついには制作コストをほぼ0にしようとしたのが、日本のバイラルメディアというコピペサイトなのだと思う。
— Yasuaki Madarame (@madarame) 2014, 8月 28
この指摘が言い得て妙。そしてそこから、作り手や広告代理店の都合が良くなるよう、利幅が大きくなるように「バイラルメディア」という言葉を使ってコピペサイトを振り回しているんじゃないかという思いが見え隠れ。あのオリコンですら、
著作権周りではやたらと騒がしい(はずの)オリコンがこのような記事を堂々と掲載しており、ちょっと動揺した系ふわりん 【あの感動再び】ドラえもん幻の最終回がアニメ化されていた http://t.co/lCKTyQYmlh @oricontvさんから
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2014, 8月 28
なんて始末だけど、これも含めて日本で自称されているバイラルメディアの大部分はコピペサイトや昔流行った一行紹介サイトでしかないし、そうでなければすでに大昔から存在している、ライトネタ系紹介サイト(海外ならCreative CriminalやらLike Coolやら)と何ら変わりない。しかもそれらのサイトはそれなりに独自性のある解釈文や説明を添付しているのに、日本のバイラルメディアと自称するもののほとんどは(次の抽出で斬込隊長氏の指摘している通り)コピペの組合せで独自性が無い。いやあ、編集を独自性といわれればそうなんだけど。なんかそれ、バイラルメディアでもキュレーションでもないよな、的な。ああ、Naverまとめの大部分も該当するなあ。
"それはキュレーションとは言いません。勝手にピックアップした英語記事の無断翻訳です。引用元や参照先さえ明示すれば、相手記事に断りなく和訳して掲載し、そこに広告を貼って良いのだ、とはなりません"
→TABI-LABOは何を言っているの http://t.co/ml5LZ7cuql
— Yasuaki Madarame (@madarame) 2014, 8月 28
キュレーターの本来の意味合い違いすぎるから、インターネッツの中でだけ誤解広まりすぎててホントにやめてもらいたい。て本職は眉潜めてる。
— satokom (@satokom) 2014, 8月 28
キュレーションなるものに関してはこんな話も先日持ち上がっている。先日から当方も指摘忠告している通り、そして上でも触れたけど、海外の流行言葉を使って似たような物だからと誤認させて、悪しき手法を正当化している雰囲気が強いのよね。勝手に暴れるのは別にいいんだけど(いや、良くないか)、周囲に迷惑をかけるのはホント、止めてほしい。
新しいこと・新しそうに見えることと、正しいこと・やってよいこととは別軸の話。何でもやってみればいいじゃないという意見も先日目にしたけど、元々ちょっと考えれば「やってはいけないこと」を正当化する手法として「新しいことだから」という免罪符を振り回すのは、是非とも止めてもらいたいものだね。それに今件に限れば、その免罪符ですらニセモノ、化けの皮をかぶっているだけじゃん、という話でしかないし。
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