「若者が正社員で働くのは"負け"」「えっ」

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会社の言うままに長時間労働し、単身赴任するしかない正社員の「安定」にしがみつくか、逆に、安定を手放し非正規で働くか--二者択一しかないように見えるこの社会に、彼らは風穴を開けうるのだろうか。

労働力調査をはじめとする各種定点観測調査や、EUなどの海外における失業率動向の精査(最近は止めているけど)をするたびに思うのが、正規・非正規社員問題。繰り替えし述べているように、自ら望んでそのポジションについている人、非正規の方が対処しやすい職種・業態・技術保有者の人もいるけど、概して非正規の方が労働条件の上では正(規)社員と比べて良くない環境に置かれやすい。それだけ雇う側はリソースを割かなくて済むのだからね。

で、昨今の労働市場問題で言及されるのが「若年層が正規社員になれない、劣悪な環境に置かれる、手取りも少ないままの場においやられる、不安定な生活を強いられる」というもの。数年前まで大きく騒がれた派遣問題もその一つ。そりゃ状況によっちゃあ正社員でも非正規社員でも苦境に置かれることに違いはないんだけどさ、やはり正社員の方が色々と守られていることに違いはない。その分束縛も多いけど。

そして指摘にある通り、「暗に若年層は非正規社員として働こうぜいと勧めている話は、かつての好景気時代に巻き起こったフリーターブームと似たような香り」がする。勧めている本人が、そういう人たちを統括する会社を創ったり、そう人たちにアドバイスをする仕事をしているから、そちら側に世間を誘導したくなるのも分かるんだけどね。

ちなみに「フリーターブーム」時期は、時給が1000円2000円は当たり前で、アルバイトの稼ぎで普通のサラリーマンよりも稼げる事例も多々あり、アルバイト情報誌は週に何冊も分厚いのが出て、それが飛ぶように売れた時代。当然、若者はアルバイトして人生をエンジョイしようぜ的な風潮で満ちあふれた。正規社員として働くのなんてばかばかしい、的な。で、その後当然のごとく、労働市場の調整期に入り、非正規社員にとっては苦境の時代となる、と。

まぁ、結局のところ、自分自身の人生であるのだから、フリーターを選ぶなり非正規社員こそベストなチョイスであると判断するのもあり。そのような就業過程を経て成功した人も山ほどいる。ただ、蓄積を得られない以上、ある一定の場所まで歩いて、後ろを振り返った時に......ということ位は考えた方がいいんじゃないかな、と。

っていうより、そういう話の結果、生活苦で首が回らない云々ってことで非正規社員の生活苦の話が社会問題化したのは上記にある通りほんの数年前の話だったんだしゃないの? 新聞社側もこういった類の主旨の記事を掲載するのは、「個人の主観である」という前提があったとしても、考え方の一つとしてのとらえ方としても、少々疑問符を呈したくなるんだけどな。

加えて一言。最初の枠組み内の言い回しって、よく考えてみると、いわゆる「二分法の罠」の手法だよね、これ。何気に悪意のある文章だよなあ......

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このページは、不破雷蔵が2014年9月30日 07:57に書いた記事です。

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