「熱があるけど会社休めないからこの薬で...」というCMは止めた方がいい

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以前から何度か指摘されている話ではあるのだけど。かぜ薬や鼻炎用の薬の中に、その症状が発して困っているのだけど、会社を休むわけにはいかないので、弊社のかぜ薬を飲んで症状を抑えましょう的な切り口を呈するものがある(具体例はあえて挙げないでおく)。言いたいことは分かるし、そのような状況にある人が少なからずいるからこそ「あるある話」として親近感を得られるというCMの思惑も理解できる。

しかしこれって見方を変えると、そのような状況を推奨しているお薬と見られることなんだよな。「無理してでも、薬で症状抑えてでも会社に来い」という。いつものCMってことで流しがちだけど、一歩引いて冷静になって考えると、これって問題だよなあ、という感は否めない。

まぁこれも、先日挙げた「個より集団の中の要素としての存在を重視する、調和を第一とする日本人気質」によるところのものなんだろうけどさ。

新型インフルエンザの流行の際にも問題視された話ではあるけれど、ただでさえ身体に不調をきたしている時に職務につかせること自体、首を傾げる話であるのに加え、感染リスクを無視した行為を推奨するってのはどうなのか、ということ。愛社精神の体現化と評する人もいるかもしれないけど、それで多数の他の社員のリスクを引き上げてしまったら、愛社どころか利敵行為と見なされても当然の話となる。無論、感染病の感染拡大との観点でも好ましい話ではない。

先のエボラ出血熱周りでも、この懸念が取りざたされている。仮に日本に本格上陸という事態が発生した際に、単なる体調不良だから、発熱だからと無理をして、あるいは薬で抑えて出社し、不特定多数に感染リスクを与えてしまったら......と考えると、頭が痛い。

CMを考える側は別の切り口を探すのに苦労するのは間違いないし、体調不良における出社と自宅での待機療養の境目が難しいのも理解できる。そして「熱があるけど会社休めないからこの薬で...」と同等、あるいはそれ以上の訴求力を持つスタイルのCMを作るのは困難だと思う。一度見つけたオイシイ方法を容易に手放すとは思えない。

ただ昨今の状況を見るに、そのボーダーラインをはるかに超した内容となっているのではないかなあという思いはある。エボラのリスクを機会に、それこそ大義名分でもいいから、この類のCMに対する姿勢の改善を求めたいところだな。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月18日 08:03に書いた記事です。

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