KADOKAWAとドワンゴの合併の陰で色々と起きていること

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10月に入って情報公開制限が解けたので、書きます。


株式会社KADOKAWAは、9月末をもってアスキーブランドの書籍を作っていたいくつかの編集部を廃止・解散しました。これに伴い、私(鈴木嘉平)が編集長を務めていたハイエンド書籍編集部も解散しました。この件について、株式会社KADOKAWAからは特にアナウンスなどは行わないということです。

誤解しないでいただきたいのですが、これはアスキーの本がなくなるということではありません。週刊アスキーもASCII.jpも存続していますし、これからもアスキーの雑誌・書籍は発売されます。また、9月までに刊行された本は今後も継続して販売されます。
ただ、これまでよりも刊行点数は少なくなるでしょうし、私が作ってきたような技術書が出版されるかどうかはわかりません。少なくとも、ハイエンド書籍編集部から10月以降に刊行するはずだった企画はすべて中止になっています。


先日の電子書籍一斉大安売りや「艦これ」の大和のブックカバープレゼントのように、コンテンツビジネスの大手であるKADOKAWAとネット系のコンテンツメディアであるドワンゴの合併がきらびやかな形で喧伝される一方、KADOKAWA内部で生じている動きがちらりと伝えられていたので覚え書き。特に会社側からはアナウンスはしないとのことだけど、発行雑誌そのものが無くならない以上、あくまでも「内部事情」ってことなんだろうな。公開企業でも幹部役員の交代人事はともかく、一般社員の人事とか部局の再構築は(よほどの事でない限り)オープンにならないってのと理屈は同じ。

今件でも、語られていることがすべて事実であると仮定すれば、アスキーの雑誌そのものが無くなるわけでもないし書籍が発刊されなくなるわけでもない。ただ、それを支える部局なり人材が配置転換されて、その業務をしなくなるのは事実であり、新たな人材も配さずに部局も無くなる以上、そこから生み出されるものも無くなる。会社全体の、少なくとも上層部が「この部局から作られる商品は必要ない、優先順位が低いのでリソースは割かない」と判断したまで、と断じることは簡単だけど、継続性の大切さを思うとその判断は正しいのかなあ、という気はする。

「必要になったらまた作ればいい、どこかから引き抜けば良い」という考えなのかもしれないけど、その想い通りになるのかなあ、という不安は、不動産業や小売業における、昨今の人材不足状況を見るに、否定することはできない。単純な短期における採算性の物差しで判断した場合、その物差しを「必要になったら」という時点でも使い続けてしまうため、結局空いた穴を埋められなくなるっていうのが大抵のありがちなパターンなんだよね。まぁ会社全体で決めた方針なのだから仕方ないといえばそれまでなんだけど。

......あ。そうなるとKADOKAWA系列の専門誌でいくつか休刊しちゃうの出てくるのかな。印刷証明部数の定期更新記事のグラフが、また寂しいものになっちゃうかもしれない。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月10日 07:53に書いた記事です。

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