デジタルイラストは手元に持っているだけでもうれしい、けどさらに......

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紙に描かれた絵画とか、物理的な姿形を持つ彫刻品と異なり、デジタル系のイラストは確かに保有価値的な意味では所有感が薄い。そのデータ自身がマスターからコピーされていることを知っているわけだし、寸分違わぬものであることは理解しても、それが容易に複製される、そして消費も出来ない情報でしかないということを頭のどこかで認識し、醒めた目で見てしまうからなんだろう。

ある意味、例の盗用コンテンツによるパクツイ(パクリツイート)が横行する理由の一つに、この所有欲が満たされないことの裏返しで、所有感が無いからこそ、ぞんざいな扱いをしてしまうと考えれば道理は通る(主に名声欲などでパクツイをする場合)。半ばこれって人の「さが」みたいなものだ。

で、デジタルイラストをビジネスとして創作している側は、それでは困ってしまう......ということで色々な工夫が考えられている、と。その一つが指摘されている、一定の仕組みの中で価値を持たせるというもの。レア度を設定すれば特定少数にしかその絵を存分に閲覧することはできないし、性能を設定すれば絵そのものの観賞以外にゲーム内での優位性を得ることが出来る。前者は絵そのものの観賞を制限し、後者は付加価値をつけることで、それぞれイラストへの所有欲をかきたてさせることが出来る。

これって【子供に仕事をやらせる方法と、トム・ソーヤのペンキ塗りの話】でも触れている、豊臣秀吉によるルソンの壺(【NHK ルソンの壺】)とか、さらにぶっちゃけちゃえば管理通貨制度における紙幣と同じようなもんだね。

まぁもちろん、デジタルイラストそのものにまったく価値が無い、という話では無い。ただ例えばiPodやスマホに収めるデジタル音源と同じで、デジタル様式のコンテンツってのは得てして価値的な観点では低く見られてしまいがちなもの。それを避けるために、色々と工夫する必要がある場面も出てくるということだ。

この辺の本性というか人の性質を上手く見極めて使いこなす仕組みが創れれば、デジタルのイラスト(をはじめとする各種コンテンツ)もそれ単独で、もっと色々なビジネス展開ができるのだろうけどね。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月11日 07:47に書いた記事です。

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